つかみどころ

アメリカンフットボールのシーズンがやってきた。やってきた、というよりも、シーズンの最後の数試合を残すのみとなった。

アメフトなんて、いつもは全然見ない。でも、最後の数試合は見ないつもりでいても、テレビをつけようものなら目に入って来る。テレビ局の力の入れようが違う。3Dでもないのに、画像が目の中に押し入ってきて、頭の中でダンスするくらいの力の入った放映なのだ。しかもシーズン最後の試合は「スーパーボウル」なんていうすごい名前がついている。その昔、コンクリートの床に投げつけると驚異的に弾む玉の魔力に取り憑かれてしまった私はスーパーボールという響きに弱い。何しろスーパーなボールなのだ。レギュラーなそんじょそこらのボール、あるいはボウルとは比較にならない。

というわけで、今日も仕事しながらチラチラ観戦。3年目くらいにして、ようやくルールが少し分かって来た。いつも思うのだが、真ん中辺りで押し合ったりなぎ倒し合ったりしてるグループに力士を数人リクルートしてみてはどうだろう。ボールをつかんで走ったりは得意じゃないかもしれないけど、小手投げ、押し出し、張り手、うっちゃり等々、何しろこちらには四十八手ある。かなり相手チームを翻弄できそうだ。でも、まてよ、廻しがないと投げ技は使えないか。アメフトのユニフォームって、ベルトすらついてなさそうだしな。つかむ場所がない―

―私がここまで心を砕いてご贔屓のチームを勝たせる方法を思案しているとは、カウチのラッコは想像もしてないだろう。でも、スーパーボウルの日にはピザを用意して、二人してザ・アメリカ人でもやるべ、と提案すると、ラッコは間髪入れずに「うん!」と言った。

☆ アメフトに力士加えて妄想す