中有の蛇口

住み慣れた家を出て、Vのダウンタウンで仮住まい中。
とはいえ、元の家から車で3分くらいの距離。
同じ街の中なのに、住む場所が違うとここまで街の見え方が違うのかと驚いた。
仮住まいの家で、はじめてシャワーを浴びた時に、
蛇口の仕組みがよくわからなくて、ひゃっと冷たい水が出たり、
急に熱くなったり、
びくびく、どきどき、
それでも、そのうち大体の仕組みが分かって来て、
今は適温ぬるま湯に落ち着いた。
街も同じように、出会った時には何をどうしたらいいのかわからなくて、
どきどき、ひやひや、
それがいつの間にか、目をつぶっていても蛇口から適温を出せるようになり、
何も感じなくなっていった。
ほんの少し、移動してみただけで、また街が新しい顔を見せてくれている。

カットアウトではなくて、
フェードアウトな感じの今回の引っ越し。
まだここにいるのに、もうここにはいない、のかもしれない。
今はまさに中有という位置にいる。
変な感覚だよ。