投函

朝から、頭痛がして、こんな日はどうも考えが後ろを向く。
遠いなあ、どこもかしこも。
あらゆるものからの距離がやたらに遠のいてしまったような、
どうにもやるせないこの思い。
焦りと言えば焦り、
空虚と言えば空虚、
パチンと臍の緒を切られて、宇宙空間を浮遊する
アストロノオトの心地。
掴もうとすれどもすれども、
それは空であります。
どうにも心細いので、手紙など書いてみる。
心の中をかっぱりと割って、
中身を引き出して晒したような、
文字が続く続く。
でもさて、取り出してみると、
なんだか馬鹿馬鹿しいような気持ちになって、
もう一度中に収めてみたりもする。
割れたところの、じぐじぐしている奥の方に。
あれ、じぐじぐしているのかと思ったら、
簡単に、中は空っぽになっていた。
そこに黒い四角の箱が一つ入っていて、
意外とその表面はつるりとしている。
そこのところに、
先程引き出した臓物的怪物の数々を、
言葉に変換して書き付けた白い紙を一枚、
納めました。
それでも、なんだか阿呆らしいので、
紙は半分に千切って入れた。
半分では足りないような気がしたので、
また半分、
また半分と千切っているうちに、
見えないくらいの粒の大きさとなり、
それは空っぽの黒い場所を満たした。
そんなわけで、手紙は投函されないのです。
あるいは、宇宙への投函。
なんていうくらいの、そういう場所に、送りました。
届きますかね。
一千億年くらい先には、たぶん届くでしょう。

☆ 黒き蓋開いたり外は月の青