花冠
昨夜、うっかり夜更かししてロイヤル・ウェディングなるものを見物してしまったので、今日はやたらと眠かった。とはいえ、時差の関係でプリンセスのウェディングドレスをチラと見たところで就寝。それでも午前3時を過ぎていた。
「お姫さまになりたい」
などという夢を書いたことが、かつて一度くらいあったかもしれない。
そういえば子供の頃、田舎のとても小さい青少年文化センターなる場所で、たぶん生まれて初めて見た映画の一つが『長靴をはいた猫』だった。
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あの時、「ペロがいれば、王子さま(お姫さま)になれるかも」と真剣に夢見た。
その後、どうやら自分はお姫さまにはなれないらしいということは、なんとなく理解したわけだが、それでもペロを今でも探しているみたいだ。
いや、探しているなんてもんではない。どうやら、アイツはうちの近くに住んでいる。
ペロは時々、図書館の本の隙間や、建物の角が90度になっている光と影の境界線辺りからするりと登場。その尻尾は素敵に長いので、私は見とれてしまう。もうだめ、できない、ムリ、どうせ、なんていう言葉が溜息混じりに口から出ようとしようものなら、ネロがすっとんできてそいつを端から呑み込んでしまう。ヤツは、こうやって見たら世界はもっと奇麗だぞ、などと髭をピンピン尖らせながら、薄い緑色のガラスを陽に透かしてこっちに見せたりする。タンポポの絨毯の上の昼寝も、大抵は彼の提案であったりもする。
というわけで、ペロは健在であるからして、
私はいつでもどこでもプリンセスになれるのである。(花冠の)
にゃあう。
☆ 散る花の上に尻尾の長き影