水の色

今日も、雨。
天気予報は、一週間ずっと雨。
いよいよ、じめじめ憂鬱なVの冬がやってきた。
何しろ、雨が多い。雪ならまだしも、乾いた部分が地表に一カ所もなくなり、コンクリートの壁さえ中までじっとり濡れちゃうような連続雨攻撃。
心の中にまで、水が入り込むのだ。

なんだか冷えるので、お風呂に入る。
ただのお湯じゃ雨の憂鬱に対抗できないような気がするので、
温泉の素、なんてのを入れたり、
バスソルト、なんてのを入れたり、
何やらよくわからないけど、ともあれ粉末、を入れたりする。

入浴剤なんて、どれもまあ同じようなものだろう、というのは甘い。
明らかに効くやつと、そうでないのがある。
最近うっかり買ってしまった入浴剤には、
いろんな温泉地の名前がついているのだけど、
実際にその温泉の薬効が入っているわけではないらしく、
しかも、お湯の色が蛍光オレンジ、蛍光グリーン等ものすごい色になるので、
湯冷めならぬ、ちょっと興ざめ。
体はそれでもよく温まるし、フルーティーな香りも漂うのだが、
蛍光色が気になって、しっくりこない。
蛍光グリーンに浸かっていいのは、クリームソーダのバニラアイスだけだ!
(あ、あと、かき氷もね!)
人体は、やはりもうちょっとナチュラルな水に浸かりたい。
ほんの少し緑がかっていたり、ほんの少し赤っぽかったり、ほんの少し青かったり、ほとんど透明だったり、ほんの少し白く濁っていたり。温泉水の仄かな色合い、谷崎なら「陰翳」とも呼びそうな水の色が、いかにすばらしく、優しいものであるか、キドキドオレンジに浸かりながらしみじみ思った。

☆ 冬の湯やオレンジの粉匙二つ