永遠の年の瀬

昨夜は、こんな映画観た。

THX-1138 ディレクターズカット 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

THX-1138 ディレクターズカット 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

このやたらに真っ白いシーンの多い摩訶不思議なSF映画は、ジョージ・ルーカスの最初の劇場作品なのだが、興行的には大きくコケたらしい。その上、配給会社が作品の「意味不明の」部分をカットして上映するなど、コッポラとルーカスが中心になって立ち上げた「アメリカン・ゾエトロープ社」の記念すべきこの第一作は、散々な目に遭ったのである。

確かに『THX 1138』は、かなり実験的な作品。内容が暗いし、抽象的だし、ちょっと暗黒舞踏みたいなシーンまであるし、キューブリックっぽいミニマルな装置も含めて、ピリピリにトンガってる。へえ、ルーカスって、元々はこういう世界が作りたかった人だったのか、なんて、やや意外だったりもする。

それにしても、壁のない牢獄って、怖いなあ。地平線も見えず、どこまでもただただ真っ白なの。

この映画の面白いのは、何しろ40年も前の作品なので、特撮はCGじゃなくて、いろんな創意工夫で乗り切っているところ。予算と特撮技術が不足していても、頭脳を使えば面白いのができちゃうのだ。頭を捻って工夫してある分だけ、むしろ創造性が高いとも言えるし。スキンヘッドの未来人たちが押し合いへし合いする雑踏シーンが圧巻なのだけれど、10人くらいしかエキストラがいなかったんで、みんなで高速でぐるぐる回って大勢のフリをした、とかね。

SFも特撮も大好きだけど、CGを駆使した昨今のやたらにリアルな(その分、嘘くさい)、絵が飛び出たりするようなのは、それほど好きでもない。むしろ、知恵を絞りに絞って、限られた条件の中でなんとかやりくりした結果、嘘からハラリと誠が零れ落ちたようなやつの方が好きなのだ。

そして、今夜は、テレビでこんなのやってる。

スヌーピーのメリークリスマス 特別版 [DVD]

スヌーピーのメリークリスマス 特別版 [DVD]

製作は1965年。毎年、この時期になると必ずテレビでやっていて、これを観ないと年が暮れない。そういえば、何故か子供の頃、大晦日の夕方になると必ずNHKで『スヌーピーとチャーリーブラウン』をやってた。大掃除が終って、夕食までもう少し、という午後5時頃にやってたような気がする。思い出す、あの一年が終る前の、掃除を終えた後の、変に透明な時間。

12月のチャーリーブラウンは、時空を越えて、永遠の年の瀬の中でジャズを奏でる。
私はスヌーピーに顔が(行動も?)似てるらしい。ラッコはいつもそう言う。

☆ 行年やまたチャーリーのジャズの鳴る