コミュ筋

朝は激しく雨が降っていて、出掛けるのが億劫だったのだけれど、出る頃になったら小雨となり、結局は止んで、日光さえ見えて来た。

古本屋に急いで寄った後、スカイトレインなるものに飛び乗り、郊外の巨大モールへと突進。このモールは近辺でも一二を争う大きさであるので、こっちの端からあっちの端まで歩いただけでもう万歩計がニコニコしている。

まあ、ラッコとここで落ち合う約束であったのだが、そういえば朝から何も食べていなかった、ということに気づいて、待ち合わせ時間を前にそのままフードコートに突進。何となく薄ら寒い日であるので、湯気の立つ系統の料理へと突進。ベトナム料理カウンターの前まで行き着いた私は、躊躇せずにベトナムワンタン麺を注文した。

これがね、通じないの、英語。

注文を取っているアジア系のおばさんは、どうも英語が苦手らしく、私の前に居たアジア系男性も、「チキン? チキン! スモール? スモールスモール!」とか永遠にやりとりしてようやく食料ゲット。もう発音とか、文法とか、そんなことは言ってられない。どっちも外国語で話してるわけで、しかも通じる言葉の範囲が狭い。とにかく食料をゲットせねば。私も思いっきり腕を伸ばして、頭上に掲げられているメニューの中のワンタンメンを必死で指差し、「スモール!」と連呼。それでもおばさんは二つくらいのハテナマークをほげほげっと放出したが、なんとかオーダーが通った。よしっ。

そこに、一人の女性登場。なにやら、ベトナム語らしき言葉で店員さんに話しかけている。お店のおばさん、キャッシャーの女の子は並んで手を横に振りながら「わかんないの、私ら!」みたいなことを言っている。ベトナム語もできないっていうことは、あれれ、このおばさんは一体どこから来た人なのでしょう。一方、女性客の方は全く英語ができないらしく、必死に身振り手振りで注文。あ、その筒状の、切る感じは。私は「揚げ春巻きかな?」と連想したのだが、違った。女性客、なんとかベトナム生春巻きゲット。

このようなあからさまな筋力コミュニケーションの現場に居合わせたのは久々だったので、何だか興奮した。

☆ 麺すする九月のフードコートかな