夜の空港

こちらの世界は、雨。そしてこちらの世界は、レーバーデーとかいう休日。雨の休日というのは、静かに沈む。落ち込むというのではなくて、しっとりとした場所へ向うのだ。

休日特番なのかしら、朝から、カール・ラガーフェルドソニア・リキエル、プロエンザスクーラー、ジャン=ポール・ゴルチエそれぞれのコレクション準備前日を追ったドキュメンタリー『The Day Before』をテレビでやっている。

ファッションショーって、美術と演劇とコンサートが合体したような代物だな。ブランドの顔はデザイナーだけど、ものすごい人数の裏方さんが関わっていて、ショーの直前まで徹夜で準備するような感じ、アドレナリンがグループ構成員の全てから放出されてるような感じは、大勢じゃないと作れないもの特有のものだ。F犬街のJ親方のところでの日々を、ああそうだったと思い出した。

雨は降り続き、それでもさんぽに出掛けたかったので、夜になってから空港まで電車で出掛けた。V国際空港。といっても、国内線乗り場から国際線乗り場まで隅から隅まで通過しても10分もかからない。仕方ないので3往復くらいしてみた。

夜の空港はマニラ行きフィリピン航空と香港辺りにゆくらしいキャセイパシフィックのフライトに並ぶ人々以外には、人影も少ない。巨大荷物8個くらいに囲まれて寝ているそこの人は、どこに飛んで行くのだろうか。オリンピックのマスコットが半額セールになっていて、それでもまだ売れ残っていた。どこかに飛びたい。

☆ 飛ぶあてもなき空港の雨月かな