夏の動物園

U国に来ると、文化の違いをやたらはっきりと感じる。国の成り立ちが日本とは本当に全く違っている。
前から知ってたけど、今日はっきりと気づいたこと:U国の人のキャリアは人の方についていて、会社の方に付いていないという事実。例えばビジネスマンというのは、どこそこの会社のビジネスマンという職業なのではなくて、ビジネスマンという技術体系を持った人そのものが、とある会社と契約して仕事をしているに過ぎないので、自分のスキルをもっと発揮できる(もっと高く買ってくれる)会社があれば、どんどんそっちに移る。もともと、キャリアは人の方に蓄積していくという仕組みなので、とある会社を辞めた、というのはキャリアとしてマイナスに働かない(辞めさせられた時には、別かもしれないけど)。皆ある意味、技術力やキャリアで武装した一匹狼、って感じだ。そうか、個人主義というのは、こういうことなんだなあ、とか今更ながらに感心したりもするけれど、なかなかしんどいこともあるだろうな。キツイけど、強さが魅力か。どこでも、どんな状況でも、身に付いた技術や知識があれば、なんとかなる(かも)という、そこのところを学びつつ、気分はやっぱり、荒野をさすらう一匹狼。乾いている。殺伐。どうしても、U国にはそのイメージがつきまとう。

親戚の赤ん坊と一緒に、S市の動物園にゆく。ライオン(お昼ね中)を見る。カバを見る(眼と鼻だけ空中。あと水中)。キリン(食事中)を見る。ミーアキャット(変なヤツらだ)を見る。ペンギンを見る。ゾウを見る(おしり)。オランウータンを見る(というよりも、あちらに見られる)。赤ん坊は、じっと見てはいるのだけれど、自分が動物園にいることも、それがオランウータンであることも、自分が人間であることも、それがバクであることも、まだよく分かってないみたいで、そのうち眠くなって来て、ペンギンが飛び込んでゆらゆら水中を泳いでいるそのゆらゆらした水の陰影の方を見ているみたいだった。

赤ん坊を抱かせてもらったのだけれど、まだ一歳ちょっとなのに、とても重かった。赤ん坊って、ぐにゃぐにゃしててすごいな。それにしても、あんな重くて温かくてぐにゃぐにゃと動くものをいつも抱き上げているお母さんってのはすごいな。赤ん坊は私の腰骨の上の辺りに足をU字型にして猿方式できゅっと抱きついている訳なのだけれど、こちらは抱き方の勝手が分からなくて苦心した。赤ちゃんも、抱かれ心地が悪かったことだろうな。それでも、とてもハッピーな子供で、泣きもせずにしばらく抱かれてくれていて、こちらとしては有り難かった。クッキーみたいな匂いがしたよ。

☆ 幼子の夢の甘さや夏来る