歩行的会話

友達と、アートギャラリーに舞踏とマイムのコラボレーション作品を観に行く。
まだ開演まで時間があったので、雨の上がったVダウンタウンを、そぞろ歩く。
歩きながら、特にどうでもいいようなことや、かなり重要なことをやりとりする。
ちょっと人生相談のような、たぶん、カフェなんかで面と向っていたら、口からするりとは出て来ないような話題が、
するすると出て来るのは、歩行の速度のせいなのか、
一つの場所に留まっていないがために、常に次の場所、未来の時間へと歩を進めているために恥ずかしいことや言いにくいことなんかは瞬時に過去の出来事として
風に流されてしまう軽さがあるからなのか、
どうやらこの友もまた、性根が旅人であるせいなのか、
やたらに自然に、私たちはいろんなことを話していて、それが面白かった。

☆ 旅人の心抱きて暮春かな