蝶への羽化

さて、4月1日になった。昨日の友人の予言? によると、今日から私の人生は変わるのだそうだ。朝寝坊して、起きがけに何か変わったかなと考えてみたけれど、どうもそれ程変わったようにも感じられない。昨晩見たヘンテコリンな2つの夢のことはやたらによく覚えていて、その一つにはラーメンが登場し、もう一つには大量の青絵具が登場した。青絵具の方の夢は、カフカ夢とでも呼びたい不条理極まりない夢で、夢の中の登場人物の誰もが私が尋ねたこととはトンチンカンな返事をする。尋ねたことに応じているようなフリをして、全く別のことを答える。ズラす、トボケる。しかも真顔でそれをやるので、恐ろしい。そして核心となることは絶対に教えてくれない。それで、私は窮地に立たされ、怒りとともに途方に暮れていたのだ、夢の中で。それは、どこかこの世界そのものの縮図みたいな夢だった。出口がどこにもなくて、ちゃかされ、すかされ、世界の奥底を知ろうとする疑問質問はいつもはぐらかされるんだもの、さ。

と、むしろ暗鬱な夢によって明けた4月1日。しかし、追い打ちをかけるように友人からは「ホントに変わるよ」みたいな念押しメールが届いていた。そこまで断言されては、変わらないわけにはいかないよねー、と心の底で思ったのかどうか知らないのだけれど、今日は心を入れ換えて、アート仕事に励んでみた。かなりの賃金(自分に払う賃金なので、全く儲からない賃金なのだが。でも貰うのも自分なので、減りもしない)を今日一日で稼いでしまった。夜、また同じ友人から来たメールには「蛹が蝶になる」だのといった、なかなか気分の良いことが書かれていた。でも、その下に「今日UFOが出るらしい」とかなんとかいうこともチラと書かれていたので、(あ、そうかエイプリル・フールだったっけ、今日)なんとなく眉唾臭いが、でも、もういっそのこと信じることとした。本日今日を限りとして、私は変わったのであります。えっへん。

でも、眠り過ぎた蛹は、どんな風に蝶になるのかしら。羽化の仕方すら、覚えていないようなのですもの。

☆ 戯れ言をいふ友遠き 四月馬鹿(羽化前)
☆ 戯れ言をいふ友のいて 四月馬鹿(羽化後)