柔らかな横顔

窓掃除の人が来るというので、一日中ブラインドウを降ろしていて、外はどんな天気なんだろう、寒いのかなどうなのかな、と思いながらエレベーターを降りて、タタっと外に駆け出してみたら予想外の晴天だったので、なんだ、家にずっといたのは勿体なかったななどと一瞬後悔した。

ヨガ教室に行ったら、今日は最初から最後まで瞑想系のポーズの連続であった。ほとんど座ったままとか寝転んでのポーズなので、怠け者の私には大変に有り難かったのだけれど、雑念が浮かぶこと浮かぶこと。これが座禅だったらこのタイミングで「パシ」と打たれるのかなあ、なんてそんな雑念を更に考えながら、伸びにくい腱を伸ばし、すぐに斜めになりたがる骨盤をなんとか必死に立てながら、年輩のおじさんの足に浮かぶ血管や、肩幅のやたら立派な女の人のパンツの丈や、ヨガの先生の微笑む横顔などをぼんやりと眺めていた。先生もまた、昔はものすごく体の固い人だったんだそうだ。それでかどうか知らないのだけれど、クラスの中で恐らく一番体の固い私をいつもぎゅうぎゅうにして、愛を注いでくれる。今日も先生がすうっとこっちにやってきて、時にはぎゅぎゅぎゅっと時にはそっと、雑念渦巻き凝り固まって眉間に皺を寄せている私の体を、もっと自由で柔らかな微笑みの方向へと導いてくれた。

☆  黄水仙 透明な声 空に撒き