ドライなやつら

朝、用事に出掛ける途中、葉桜が目立つ。まだあちこちには満開の桜もあるのに、花びら一つ地面に残さず完全に花が終わっている木の連続。どうもこちらの桜の動向はイマイチよく分からない。
毎年思う事なのだけれど、Vには花見の習慣はない。もう「ワッ」「ワワッ」「ワアワアワア」という具合に一気に咲いた見事な花の空中浮遊があちこちに起こっているというのに、足を止めて見とれる人の姿すら少ない。ああ、あの木の下にゴザ敷いて、重箱開けて、花見やりたい。花を「勿体ないなあ」などと思ってしまう私なのだけれど、こちらでは花の方も「いいぇ、別に。毎年の自然のことだしね」とやたらあっけらかんとしていて、ワっと咲いて、パパっと散って、風情やら情緒やらという領域には入り込まずにカラっとゆく。桜の花が散る様を眺めて涙する人の姿を、見かけた事がない。

☆ 翻る ロビンの腹の 朱楽し