夜の箱

夜10時。ジャズ。生姜と蜂蜜の入ったルイボスティー。蝋燭の炎。乾燥機の回る音。巨人の手のパープルライト。薬指から吹き出す紫の煙。
あったかい部屋。汗ばむ程に。
贈り物の黄緑色のヒーテックシャツのとっくりが首を優しく包み、贈り物のふかふか靴下が足を撫でる。
ああ、この靴下は、眠っているほかほかの兎そのもの。巨人の手とお揃いの、淡い紫の兎二羽が床の上でとくとくしている。
あの忙しくて面白い蜂たちが集めた甘いものが喉を通りながらくすくす笑う。
私も、少し笑う。
こんなに柔らかい夜は、全部を一つの箱の中に入れて、取っておきたくなる。