カイオォォォォォォォー!

深夜にひそかにテレビの前に陣取る。
今日は大一番が控えているので、ちょっとドキドキ、ワクワクする。

昔、大相撲ファンのカナダ人に出会った。
彼の力士を見る目はものすごく鋭くて、
その当時彼が「こいつがいい」と指摘していた力士は、白鵬 (その当時はまだ大関ですらなかった)、稀勢の里豪栄道琴奨菊琴光喜など、ハズレなく活躍中。
...正直言って、あそこまでSUMOの話で盛り上がれる友は、これまで日本でもお目にかかった事がなかった。日本で相撲ファンですって言うと、ちょっとオッサン臭いでしょ。それで、小学生の頃から相撲ファンだった私は、大抵の場合はその事実を隠して暮らし、そしてまた、「わたし、相撲ファンで...」などという言葉が、若者のお茶会宴会などで相手から出ることはほとんどなかった。

その、ずっと封印していた禁断の相撲トークを心置きなくできる(しかも、やたら詳しい)人第一号が、なぜかVで偶然出会ったカナダ人だったのだ。変だなァ。その彼もVにはもういない。どこか遠いところに引っ越して行った。
その謎の相撲マニアの彼が、やっぱり一番のご贔屓にしてたのがKaioだった。何度彼が「KAIOOOO!」と叫ぶ姿を目にした事か。当時から、「Kaioは別格。あいつはいいぜ、泣かせるぜ」とのことだったのだが、その魁皇が。ついに。

勝った。808勝。

私はその瞬間、深夜のVの大気中に「カイオォォォォォー!」という雄叫びを放ちながら、ベッドですやすや中のご近所さんも顧みずパチパチと派手に拍手せずにはいられなかった。
鮮やかな取り口。言うことなし。
きっと相撲通の彼もまた、この瞬間、どこかの空の下で「Kaiooooooooo!」と遠吠えていたことだろう。
しみじみ。