声と体

雨。今日も雨。もうこのくらい雨が続くと、毎日毎日「雨が鬱陶しい」と言っていること自体が鬱陶しいので、今日はぐずぐず言わないことにしようっと。
ベランダの植物群は枯れるものあり、育つものあり。ミックスサラダはモサモサになった。その葉っぱの裏側に、極小のテントウムシ(しかしモノクロ)のような虫発見。食うつもりか? しばし観察。寒いので、じっとしていて全然動かないけど、夜になるとパリパリやったりするのだろうか。菊の「花ちゃん」がもう少しで咲く。何年も咲かなかった鉢なので、復活が嬉しい。莟が、毎日少しずつ大きくなってゆく。

毎日雨だの鬱陶しいだの、もう嫌だだのと暗いことばかり書いているので、遠方より「だいじょぶかい?」メールが届く。F犬街時代からの友人、舞姫Yちゃん。地球の2/3くらいのあっちとこっちに離れて生息している二人なのだけれど、「生きてるよー」などと言いながら、スカイプなる文明の利器により声の交換を試みる。Yちゃんには、F犬街時代に、何度も命を救われた。いつも食いっぱぐれて、腹を空かせて目ばっかりキロキロさせながらアートだアートだなどとそこいらを駆けずり回ってばかりいた私に、「何か作るから、食べてって」などといいながら、ササっ、パパっとやたらに美味しいごはんを作って食べさせてくれたのがYちゃんなのだ。さすが舞姫だけあって、カラダに対する自覚が違う。ちゃんと食べないと、カラダは思うように動いてくれない。体で表現する人だから、人一倍、体を慈しむことを知っている。

そういえば、家にキャッシュカードも財布も忘れて出掛け(電車の回数券とバス券だけは持っていた)、無一文でYちゃんの家にSOSを発しながら飛び込んだこともあったっけ。いや、お世話になりっぱなしとはこのこと。夜中までアートだのなんだの、外国で暮らすのも結構ツラいよねなんてことだのなんだの、ボーイフレンドがどーだのなんだの、そんなことをお茶を啜りながら語り合った日々が懐かしい(せいしゅーん)。

それにしても、電話ってものを発明したベルさんは偉いな。海の彼方、空の彼方、こっちは昼であっちは夜というようなそんなところの声が、届くんだもんな。メールもいいけど、声はやっぱり違う。ぺちゃくちゃぺちゃくちゃぺちゃくちゃぺちゃくちゃぺちゃくちゃ。いや、だべっただべった。

で、やっぱり最後に、「会いたいよねえ」ということになった。やっぱり、タダで電話できるようなご時世になっても、やっぱり同じテーブルに肘付いて、お茶啜りながら「はあ」なんて一緒に溜息つきたいのだ。早く誰か発明してくれないかな。どこでもドア。そしたら私は電話魔ならぬ「ドア魔」と化して、あっちやこっちのお茶の間に毎日お邪魔することでしょう。