ランタンスープ

雨。しかもバシャバシャと、水音が聞こえて来そうな大量の雨。一日中これだ。参るぜ。ああ、なんという憂鬱。室内にいるのだから、外の雨のことなんて知らぬ顔をしていられそうなものだけれど、影響を受けてしまうのは、一体なぜなのだろう。窓を閉めて、ブラインドウを降ろしていたって、やっぱり影響を受けてしまいそうだよ、この雨。雨は視覚でも聴覚でもなく、触感で迫り来るらしい。ひたひた。ぞぞっ。

家にカボチャ到着。Kabochaと銘打ってあったので、何がしか日本のカボチャと関連した品種であると思われる。色は鮮やかなオレンジ。デカい。巷はハローウィンに向けて、カボチャがそこら中に溢れている。顔の形にくりぬいたカボチャのランタンというやつが、普通の家の前なんかに出没。チラチラ揺れるロウソクの火。ニヤニヤ笑うカボチャたち。この季節の夜の散歩は楽しい。等身大のガイコツ飾ってるような家もあるし。ミイラ男、ドラキュラ、ゾンビ、などよりどりみどり。綿で作った蜘蛛の巣も、あっちこっちに絡み付いている。カフェにも蜘蛛の巣。病院にも蜘蛛の巣。そしてオフィスにも蜘蛛の巣...

でも、私はカボチャをくりぬいちゃったりしないんだ。窓辺に飾っておいて、ハローウィンが済んだら、煮付けて食べちゃう。一方、巷のカボチャランタンたちの運命はいかに。あの後、無事パンプキンパイになれたり、少なくともパンプキンスープくらいにはなって、あの家の子供や大人の胃袋に収まるのだろうか。それとも、用事は済んだし、汚れちゃったし、なんて、ポイとゴミ箱ゆきなんだろうか。

もしゴミ箱ゆきならば、邪悪に笑うカボチャランタンをV市の隅々から掻き集めて、巨大な鍋でぐつぐつ煮込んで、街中の人が食べても食べきれないくらいたくさんのパンプキンスープを作りたい。芋煮会風に。晩秋のVのNew風物詩とかね。勝手に想像。そうでもないと、ランタンのヤツらが成仏できないんじゃないかと心配なんだもの。

テレビで『The Office』のアメリカ版を見る。続けて、DVDでオリジナル英国版を見る。イギリス英語はどうもよく聞き取れないので、字幕つきで鑑賞。字幕つきでもよく分からないブリティッシュ・ユーモア。ぶっとんでる&脱力。あ、英国版The officeには『銀河ヒッチハイクガイド』の主人公やってた俳優さんが登場。アメリカ版でこの同じキャラクターをやってる俳優さんと、表情の作り方とかものすごく似てる。でも、他のキャラクター設定はかなりズレていて、面白い。この、キャラクター設定の差にアメリカとイギリスの距離が、見えた、ような気がした。この比較鑑賞、癖になりそう。