ささやかな、左折の夢

本日も朝から自動車教習。さすがに3日めにもなると、疲労が溜まっている。何しろ全神経を集中しての2時間。筋肉も神経の一本一本も目一杯に逆立っている状態なので、最初の20分くらいは良いのだが、長続きしない。だんだんと反射速度が落ちてゆき、脳がどよよんと曇って行くような。それを気力でカバーして。でも、怖いです、せんせい。

とはいえ、さすがに3日目。シフトチェンジもかなりスムーズにできるようになり、加速も良好。 こうなると逆に、減速の時に速度が落とし切れていない状況がちらほら。人間の感覚って恐ろしいもんだ。初日には時速20キロくらいでも「速いっ! 怖いっ!」と思っていたのに、今日は60キロくらい平気で出して、先生に「出し過ぎ」コメントも頂いた。左折の時に、「もっともっともっともっとゆっくり〜」とせんせーが何度叫んだことか。ゆっくりにしてるつもりなんだけどナァ。速さにだんだん慣れて来ると、ぐーっと遅くするのが難しいのだ。かなり遅くしてるつもりでも、出ちゃってます、スピード。気をつけようねっ、はいっ。

とにかく、交差点が来ると焦る、頭に血が上る、緊張して心拍数が倍増する。それでもせんせーは「とにかくたくさん乗っていれば、だんだんと慣れますから〜」と飽くまでもポジティブ。本日のエンスト3回。全て駐車場の中の徐行練習の最中だったので、それ程血圧は上がらなかった。昨日よりは進歩したかなっ。

「車線の危ない方によぉらなぁいでねぇ〜」というのが、せんせーの最終コメントであった。車幅感覚が皆無な私。はいっ、気をつけますっ、と言ったものの、コレ一人で運転するってことになったら、コワいなあ、やっぱり。知らず知らずのうちに左や右に寄ってたりして。しかし、怯えてばかりいては、進歩はない。センセーのゆるやかなN弁の響きと共に、この3日間で教えてもらった事は、しっかりと胸に刻んで、安全運転を肝に銘ずるのみ。うん。

帰り道は、「家まで運転していぎますかぁ〜。だいじょうぶですよ〜」というせんせーの言葉を信じて、街中を自分で運転して帰って来た(もちろん、助手席にはせんせー)。いやー、疲れた。こんなに神経をすり減らしたのは久々かも。神経が鉛筆のようなものでそれが目に見えるとしたら、80%くらいが削られてチビピツになっている状態で帰還。それにしても、運転席から見ると、街はいつもと違って見えるなあ。っていって、景色を眺めてる余裕なんて、全然なかったけど。

こうして、マニュアル車ペーパードライバー講習を終え、シフトチェンジって意外と楽しいなぁ、などと陸に上がってしまえば暢気な一言さえ出ちゃうくらい運転の勘がちょっぴり戻ったのであったが、V市に帰ったら、左ハンドル右走行だよ。脳が反転するんだよ。あっちがこっちで、こっちがあっち。右手でシフト、ってことは、こっちがあっちになって...。ああ。ダメだ。そんな無茶なことできるわけないってのー。

このまま日本で運転の練習をしていたいなぁ。と、もう既に帰Vの飛行機は目と鼻の先まで来てるっていうのに、このまま日本車で逆向きに疾走して夕陽の向うまで逃亡したい気分になる。日本で自動車に乗って、爽やか(十分減速)(ミラー&目視)に左折したい。ああ、したいの、左折。こんな願望を抱いちゃうって、ワガママでしょうか。また、西と東、右と左の間にサンドされて、ちょっと胸が詰まっているのです。