人肌の古典

ようやく本読む心の余裕ができて、そろっとこの本を取り出した。

日本語の古典 (岩波新書)

日本語の古典 (岩波新書)

この本、ケッサクだから読むように、と読書好きの知人からの強いおすすめだったのだが、確かにこれ面白い。
題名だけは必ず聞いたことがあって、でもちゃんと読んだことのない古典の名作の数々。コテン、と聞くだけで、なんとなく敷居が高くなり、小難しそうに感じてしまうのだけれど、そうか、そういうことだったのか、今も昔も、名作には人間の味わいいろいろが注入されているのだねえ、ということが明瞭簡潔な解説から浮かび上がり、なんだかホコっといい気持ちになる本がこれなのだ。

その上、短くシンプルな文章の中に、鮮やかに文学の成り立ちを切り取った分析があちこち散りばめられていて、目から鱗でこれまた気分が良い。

秋の夜長、こんな本があると、随分と温まる。