雪が降って、午後のミーティングはあっさりキャンセルだという。
どうやら、郊外の山の方では随分と降っているらしい。
こちらは、朝はそれほどでもないと思っていたのだけれど、
午後になって、街の方にも落ちて来た。

なんでも、Vでは雪が降ると学校が休みになったりするらしい。
Nでは雪が降ったくらいでは、学校は休みにならなかった。
冬は毎日のように雪が降っていたから、いちいち休みにしていたら、
毎日が休みになっちゃうもの。
それでも、ドカ雪が夜に降った朝などは、
線路や道路が埋まってしまって、除雪が間にあわず、
そんな時は、学校が休みになったりした。
一年に一日くらい、そんな日があって、
当然私はラッキー! と思った。
でも、休みだと確信していた大雪の朝に、
休みじゃないよという連絡網かなんかが来て、
途中で立ち往生しながらなかなか進まないバスに乗って遅れて学校に行く時なんかは、
バスの窓は結露で曇っているし、傘は濡れるし、足は蒸れるし、
チェーンを履いたバスは耳障りな音を立てるし、
大変に難儀であった。憂鬱と言えば限りなく憂鬱。
でも、そのバスの中にあったのは、雪国の叙情が充満した時間であり、
世界の果ての永遠とそれはどこか似ていた。
雪が降ると、体の芯の所に残っているそういう時間が目覚めるので、
なんだかしんとして、宇宙に放り出されたようになる。

☆ 雪片の十万光年より落つる