あの頬の赤

今日が本当のバレンタインデーなのだけど、外にも出ず、チョコも買わず、花も買わず、家に籠って仕事してた。

思えば、バレンタインデーに誰かの下駄箱にチョコを入れたり、廊下の曲がり角で待ち伏せしたり、などという思い出は全くない。待ち伏せしている女の子を更に次の廊下の曲がり角辺りで覗き見る、などということはしていた。ヤな女子だったわけだ。

今でも忘れられないのが、中学生の時に「チョコ禁止令」が出たこと。学校にチョコを持って来てはいけないという先生からの通達があったのだ。その時に、家庭科の先生が、禁止の理由として「もらえない子が可哀想だから」と言ったのが忘れられない。そっか、チョコをあげる女子もドキドキだが、当然もらうつもりの男子やたぶんもらわないんだろうなあと思いながらついつい淡い期待を抱いてしまう男子の方も、精神的に疲れる一日であるに違いない。

高校生の時には、手作りチョコを持って来た女の子がいて、私は随分とそれを冷やかしてか、彼女の透き通るような頬が真っ赤になったのだけれど、本当はちょっとそんな彼女の乙女心が羨ましかった。あの時に素直にチョコを渡すような女子だったら、きっとまた別の人生があっただろうに。やや手遅れ。

☆ あの頬の紅色バレンタインデー