悲しき回遊

オリンピックの時にスピードスケート競技のために作られた建物に出掛ける。楕円形をしてるので、Ovalと呼ばれている。そのまんま、でしょ。今日はVオリンピックの一周年記念なんだそうで、ここOvalでもコミュニティ・フェスティバルみたいなものが開催されてるのだ。わざわざそんなところに出掛けたのは、某映画ソサエティの青少年ワークショップで作ったアニメーション映像が夕方ここで上映されるからだったのだけれど、何かお祭りがあるのなら、とちょいと早めに出掛けた。

いや、広い。ここを、オリンピックのアスリート達が滑ったわけか。その、広いところにいろいろなブースが出てる。スポーツ振興協会、なんていう感じのブースが多かった。何しろ広いので、たくさん出店が出ていても、やたらにガランとしている。天井が異様に高いしね。あっちではスケートを楽しむ子供達。こっちでは卓球を楽しむ子供達。そっちでは、体操を楽しむ子供達。あれ、あれ、わあ、すごー。体操の子供達はやたらに上手い。バク転、逆立ち、側転、なんでも来い。男の子でも180度開脚。羨ましい柔軟性。

こっちではバンドが演奏してる。その辺では、地元のアートクラブが油絵や陶芸なんかを展示してる。まあ、なんというか大変にユルいイベントなんである。ものの5分くらいで、なんにもすることがなくなった。更に友達とぐるぐる会場を回遊しているうちに、ここはどこ私は誰状態に陥った。そもそもアイスリンクの上をスケート履かずにぐるぐるするってのは変なもんだ。イベントのユルさは、たぶんNの体育館で開催されるかもしれぬ物産展かなんかのノリ。会場の大きさに比べて、人の数が圧倒的に少ない。

ああこれが、全国駅弁大会だったらなあ、と会場を10周する頃には、あまりにも見るものする事がないので、退屈するやら寂しいやら、溜息が出た。最後には、なんとなく物悲しい気分すら沸いてくる郊外のイベント。さっさとスケート履いて、子供に混じって滑っちゃえばよかったのかな。

☆ 春寒やバス停の影身を縮め