陶酔

ここのところすっとんで夜遊びばかりしてたからだろうか。何だか体の具合がヘンになり、足は重く、関節が痛み、熱っぽくもあり、どうやら風邪を貰って来たらしい。

そういえば、昨日から鼻の詰まりも尋常じゃなかった。頭も重い。どうしても出掛ける用事を日中一つこなして、後はベッドにへばりついて過ごした。

夕刻、これもお手伝いの約束などしていたので、シネマ歌舞伎なるイベントに出掛ける。一日寝てたので、大分具合が良くなったけれど、映画の途中にくしゃみが出ないかハラハラした。

ハイビジョン映像で勘三郎親子の『連獅子』と玉三郎の『鷺娘』。芝居はやっぱり劇場で生で見ないと、というのが鉄則ではあるのだが、これはこれでそれなりに楽しめた。何しろ、劇場に行ってもまず見えないだろう舞台上のあらゆるディテイルが拡大されて大画面に映し出されるので、まるで歌舞伎をプレパラートの上に乗せて、顕微鏡で観察してるような発見があるのだ。生身の演者と同じ空間にいる、あのゾクゾク感が少ない分を、ディテイル発見のワクワク感が埋め合わせてくれる。終映後、思わず画面に向って拍手。
久々の歌舞伎の芸の凄さに酔って、クラクラした。この強い陶酔感。快感の極地。また見たい。でも、やっぱり次は生で見たいな。

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☆ 歌舞伎には出掛けてゆきぬ春の風邪