舞台の魔力

今日も雨。でも、フと天気予報を見ると水曜日から晴れマークが並んでいる。これが本当ならば、晴れの新年を迎えられるという計算。初日の出も拝めるかも知れぬ。ただし、Vの週間天気予報は見る度に変わるので全く当てにならない。このまま天気予報が変わりませんようにと祈ってみることにしよう。

テレビでグレン・グールドのドキュメンタリーをやっていて、つい見てしまう。10代の時にコンセルバトワールで一緒だったというお婆さんが出て来るのだけれど、グールドと彼女の習っていた先生というのが、椅子をものすごく低くして、タッピング奏法というのをやる人だったらしく、グールドはこの先生に影響を受けたらしい。このお婆さん、グールド風に演奏するのがすごく上手い。同じ先生にテクニックを学んだのだから、当たり前なのかもしれないけど、グールドのあのユニークな弾き方に明確なルーツがあったというのにはちょっと驚いた。

その後、『サウンド・オブ・ミュージック』の特番やってるのを、またついつい見てしまう。今年は映画ができて45周年記念なんだって。トラップ一家が総出演。当然、当時子供だった彼らは、今はおじさんおばさんになっている。主演のジュリー・アンドリュース、お父さん役のクリストファー・プラマーは今も現役でバリバリやっているのがすごい。そして、子役達も、その後ドラッグに溺れたりもせず(溺れたのかもしれないけど)、皆無事に大人になったようで、なんだか嬉しい。一番上のお姉さんを演じていた女優さんは、実は当時21歳で、お父さん役のプラマーがカッコいいんで、密かに憧れてたらしい。ジュリー・アンドリュースは子供を一人産んだすぐ後くらいの撮影だったんだって。

プラマーが、「あの映画は、一歩間違えるとチョー感傷的になっちゃうから、ヤバいなって思ってた」なんて言ってたのが面白かった。ジュリーと二人で頑張って、メロメロお涙頂戴のレベルから一つ上のレベルになんとか押し上げたらしい。

子役は稽古やら撮影やら、なんだかんだ一年くらいこの映画に関わっていたらしいけど、たぶんものすっごく楽しかったんじゃないかと思う。

小学生の時に、ちょっとオペラの子役というのをやったことがあるんだけど、今でもその時のことが忘れられないもの。メイクして、衣装来て、大人の世界で一緒に仕事して、スター歌手のオーラにドキドキして、楽屋で特注の仕出しなんか食べさせてもらって、こんな楽しいことがあるのかって、ホントそう思った。世界を裏側から初めて見たような、舞台裏のあの不思議空間の衝撃。あれを一度体験しちゃうと、元には戻れないのかもしれない。今自分がここにいる理由は、たぶんあの日吸い込んだ楽屋裏のワクワクの中にある。そんな気がする。懐かしい。

☆ 半額のポインセチアの儚けれ