カルダーのサーカス

今日12月18日は一年の中でも、ちょっと特別な日なので、
何か素敵な一日にしたいと思っていたのだけれど、
ソージしたり、ごそごそと仕事したりしているうちに時間が過ぎて、
午後の3時くらいになった。

今日も雨。雪の予報だけれど、降る気配なし。
灰色の一日がこのまま暮れるのかしら、と
古本屋に売る本をぽつぽつ選り分けたりしていたら、
フとある人の言葉を思い出して、
この映像に辿り着いた。

灰色の世界に、色がついて、
宇宙で一番小さな暖炉にぽっと火が灯り、
いつもは手の届かない奥のところが、
にこにこと温まる。

馬は駆け回り、風船は膨らむ。
このおじさんは、世界の膨らまし方を知っている。
管をつないで、胸に一杯息を吸って、一気に吹き込む。
顔を真っ赤にして。
口を尖らせて。
その間にも、空中ブランコは揺れ、
クロバットは空を跳ぶ。

ああ、とても好きだ。この空気。

私の作品を見て、この「カルダーのサーカス」を思い出した、と言ってくれた人がいた。
この空気と同じ何かが、もし少しでも発生していたとしたら、
本当に嬉しいことだ。

心の奥に灯がともったら、
特別な日は、ますます特別な日となり、
売るつもりのなかった、少しばかり不安な影のある本達も、
潔く売られて行くこととなった。

私全体の1/3くらいの重さのある本を売り、
その帰りに、ラーメンを食べた。
12月18日には、毎年必ず、ラーメンを食べることになっているのだ。
デパートのレストランで必ずラーメンを注文する人のことを、そっと思い出しながら。

☆ ラーメンの湯気三つあり冬の夜