I am in Paris...

今日はうちの飼い犬Fの誕生日。
あれ、犬なんて飼ってたの?
そう。ただし、この犬は食べもしないし、排泄もしない。
でも、私が外出する時には、大抵ついてくる。
時々吠える。オヤジみたいな声でいろいろとコメントする。よくおならをする。
近くのドラッグストアで、いろんな動物に埋もれてる中から発見して家に連れて来た。
種類は? ミニチュアダックス。買った時のタグに誕生日が記載されていた。
今日で二歳になる。さっきから、チャーリーブラウンのクリスマスの音楽に合わせて踊っている。
職業:ファッションフォトグラファー。ただし、最近、映画監督もやってみたいなあと思っているらしい。映画を見ている時のコメントがなかなか冴える。アントニオーニの『Blow-up』(邦題:『欲望』)が好きらしく、口癖は "I am in Paris."。

誕生日ディナーは肉がいいと吠えるので、Vダウンタウンの洋食を食べさせる店に出掛けたら、知らないうちにお店がなくなっていた。私はその店のカキフライを食べるつもりだったのに。年末にこういう消滅は寂しい。犬の機嫌が悪くならないうちに、と入った店は居酒屋。結局、ギョウザだの牛肉コロッケだの、マグロの丼だの、そんなのを犬とラッコとつまむバースデーとなる。端から見ると、かなり変なテーブルだっただろうな。まあ、スカンク、アライグマ、アザラシなどが平気でその辺にちょろちょろしているVのことなので、誰もこの程度のことでは驚かないけれど。

クリスマスケーキの予約のできる日系カフェで休憩。バースデーケーキはいるのか、と問うと、犬はいらない、とか言うので、あらそう、とお茶など飲む。今年はやめとくか、とクリスマスケーキも予約しなかった。でも、その帰り道に犬が吠えること、吠えること。そんなにクリスマスケーキ欲しかったの? 帰り道になって吠えるあたりが、まだまだ子供である。

今夜は、こんな映画見た。

この映画の中のブリジッド・バルドーの美には、さすがの犬もグウの音も出なかった。下品な言い方になるけど、あのお尻にはひれ伏すしかない。それにしても、ゴダールの音の入れ方、変だよ。ものすごく、変。メロドラマっぽくて、でも、ほとんどその逆だったりもする。たぶん、全編通して、使われている音楽は一曲だけ? それがあんまりしつこく繰り返されるので、そのうち不覚にも感情が掻き回されてしまうのだ。面白い。

☆ 片隅のケットに犬のてんと待つ