妖しい煌めき

読書なんてしてるバヤイじゃないのだけど、
いろんな隙間に最近読んでいるのが、この本。

両性具有の美 (新潮文庫)

両性具有の美 (新潮文庫)

能に取り憑かれた頃から、いや、たぶんその前から、
この両性具有的な美というのには、なにとなく惹かれるものがあって、
今でも、日本の古典的な美の多くの部分に、両性具有的な艶とか匂いというものがあると感じる。

Vの寒空の、艶も匂いもない雨合羽の群れを行き過ぎる時、
バッグの奥でこの本が密かに匂い立っていることを、一人じめして心の内側の顔ではちょっと頬を緩めながら、私はゆく。

日本人は、中に何が入ってるかわかんなくて、不気味です、と言われても、こういう妖しい煌めきはずっと内側に灯しておくつもりだ。

☆ 少年の影二つあり冬の星