雪の顔

朝起きて、雪は積もってなくて、なあんだ、と思って一日を過ごす。
道は濡れていて、湿っていて、とても寒い。
ラボで遅くまで音探し作業。いつものことながら、砂金探し、もしくは宝探しにとてもよく似た作業。砂漠なのか深海なのかもよく分からない場所にポンと放り出された気分。手探りで進む。時々、キラっと光るカケラなんかが見つかって、不安の中に希望が生まれる。その小さな灯を頼りに、ちょっとずつ進む。

なんていう作業を夜中までやって、帰る頃には空が白くなっていた。

雪。雪。雪。

よく知っている空気の緊張感。景気良く、惜しげもなく、降る降る。
空の上の方に、ほっぺたを膨らましたところから、冷たく白いのをサカサカ吹き出してる巨大な雪の顔があるよ。
これは、積もる予感。明日の朝、たぶん世界は白いと思う。

☆ 君帰る夜初雪の降りしきる