アラナイ、アラハン

用事があって、V市の隣町R市まで電車で出掛ける。
ここには日本の本屋さんがあるので、ちょっと流す。
新刊本などもあるのだけれど、輸入価格になっているので、かなり高い。
今は日本円が強いので、なおさらギョっとするような価格になっている。
特に探している本があるわけでもなし、
迂闊にあれもこれもなんて買ったら大変なことになるので、
安売りコーナーにあった本を一冊買って来た。
99セント。
日本円だと80円くらい。
もともと、一冊900円の本だから、ものすごい割引率。
ちょうど一年前の11月号の俳句雑誌。
何枚も値札がぺたぺたと重ねて貼られていて、一年ずっと売れ残った凄みがある。

俳句みたいなものを作ってみたりしているのに、
俳句雑誌というものを買ったのは、実ははじめて。

帰りの電車の中で早速開いてみて、
すごくびっくりした。

俳句の世界というのは、息が長い。
だから、新作の俳句コーナーとか、注目の俳人というコーナーに載っている人の生まれ年が、昭和一桁だったり、大正生まれだったりする。いや、ほとんどがそうだ。
巷では、若い才能がもてはやされて、アラフォー辺りになると年寄り扱いされたり、自分でも「もう歳だしなあ」なんて溜息をついたりするのに、俳句ワールドではアラエイ、アラナイ、更にはアラハン辺りでもキラキラと現役。アラフォーなんて赤ん坊みたいなものなのだ。

確かに、この雑誌の中にも1970年代生まれ辺りの気鋭の新人を取り上げたコーナーもある。そこに「未来の俳人」とか書いてあったので、再度パンチをくらった。1930年代生まれくらいが平気に「現在」な世界なので、1970年が「未来」になるというのも頷けるけど。

時間軸までも揺るがす俳句ワールド、恐るべし。これからライバルはアラナイ、アラハンだ!

☆ 杖の先またその果てに冬の季語