死への挑戦

すさまじい映画を観てしまった!
カナダのオタワ出身の実験映画監督、Frank Coleの作品群と彼の生涯を描いたドキュメンタリー。

なんと彼は、サハラ砂漠を単独で横断した初めての欧米人として、ギネスブックにも載っているのだ。タダモノではない。

彼の作品『A Life』には彼自身が主人公として登場するのだけれど、パフォーマンス・アートと呼びたくなるような異様なまでの存在感に圧倒される。ぎりぎりのところで叫びを堪えているような緊張感と、生と死を見据えているような怖いほどの視線。

演技...じゃないな、これは。本当にこの人は、サハラ砂漠を一年もかけて歩いて渡ったのだもの。彼は死への恐怖を超えるために、死に一番近い場所である砂漠を選んで、それを遂に征服した男なのだ。

2000年、二度目のサハラ横断の途中に、彼は謎の死を遂げている。山賊に襲われたらしいのだけれど、真相は明らかになっていない。なぜ彼が再びサハラに立ち戻ったのかも、定かではない。10年をかけて編集していた映画『Life Without Death』に欠けている映像を撮影するために戻ったという話もある。実際、彼はアフリカからオタワに撮影済みのフィルムを何本か送っていて、それをこの映画のラストに使うように、と指示を出していたらしい。

『Life Without Death』の上映は来週の火曜日。どういうラストなのか、興味津々。

☆ 身に入むや配達されぬ文二通