完璧な茶色の三角形

Nを散策。「みやじさま」という小さな神社に出掛ける。この神社は、小学生くらいの時に、学校の遠足で行くような場所で、もう何十年も行ったことがなかった。記憶の中にあるのは、小さい、とても古い祠と、峠の茶屋のような門前の店。このお店で煮汁が染み込んで茶色になった三角形のこんにゃくを食べた、という曖昧な思い出があった。

祖母が、この茶屋の贔屓だったらしい。遠足ではこんにゃくは食べないだろうから、祖母と一緒にここに出掛けて食べたのだろう。自動車で行ったのか、それともバスで行ったのか、よく分からない。なんとなく自家用車を乗り付けてそこに行ったようには思えないけれど、その当時のウチからは結構遠い場所にあるこの神社に、歩いて行ったとも思えない。

久しぶりの「みやじさま」のお社は、昔と同じく、とても古かった。蜘蛛の巣なんかも適当に張っていて、石段は崩れそうな感じで、苔むしている。

峠の茶屋の方は、随分と立派になっていて驚いたのだけれど、こんにゃくは昔と同じに飴色で、三角形で、そうだ、身欠き鰊と車麩を煮たのもついてくるのだった。この三点セットは形も直線・半円・三角と完璧で、白いごはんと一緒に食べると、これまた完璧に調和する柔らかく深い甘辛さが素晴しい。

この前ここに来たときは、たぶん7,8歳くらいだったんじゃないだろうか。
それから、ずっと来なくて、本日。

神様も驚いただろう。いやあ、大きくなったね。歳取ったね。なんて。

☆ 蒟蒻の三角形や秋の聲