朝から霧雨が降っている。とても細かい雨粒なので、傘をさそうかどうしようか迷った。濡れて行っても構わないくらいの、軽い水分だったので。

それでも日本人である私の習慣なのか、体質なのか、なにがしかが私に傘を開かせる。V街は傘2割、濡れ8割。このくらいの雨は雨とも思わない種族が圧倒的なのだ。

今日既に傘を開いてしまった私は、Vに本格的な秋・冬が来る頃には、毎日のように傘を開かなければいけなくなるだろう。なのに私は本格的な傘というものを持っていない。古い、ちょこっと穴の開いた、折り畳み傘だけ。

たぶん、Vのマジョリティーである濡れ族にちょっと遠慮して、それで本格的な傘を持つことを躊躇しているのだ。本当は濡れてもいいんだけどね、というそんな素振りで、骨が曲がっているような傘をちょこっとだけ差す。いや、それよりも、本当は本格的な傘を持つことを恐れているのかもしれない。そしたら、毎日が雨であるという事実の重さを認めてしまうことになりそうなので。

今年は買うのかしら、本格的な傘。どちらにしても、ちょっと気分の晴れる、奇麗な折りたたみくらいは新調することにしよう。

朝顔日記:63日目:寒そう。

☆ 初秋や小さき傘をさしてゆく