自転車

Vのこの季節は、さんぽが最高の娯楽だ。夕ご飯を食べてからでも十分に夕陽に間にあう。昼間の陽射しが柔らかく斜めに傾き始めた頃に外にぶらりと出れば、行く先のある散歩でも行く先のない散歩でも、空気の中に秘められた光の粒子の美しさと、ひたすら通過していく風の体温よりも少しだけ低い感触の中で、自然に足が前に進み、こんな透明な場所を歩いていることそれ自体への感謝がこみ上げて来る。

そんなわけで、散歩する人の姿はVではとても多い。それと同じ位多いのが自転車隊。てこてこと行く私や犬の横を、素敵な速さで駆け抜けて行く。

東京にいた時には、何故か知り合いの高校生からお古の自転車を貰い、F犬街では中古自転車やで青いダッチバイクを買って、石畳を乗り回して3度パンクさせた。どうしてか今思うと不思議なのだけれど、自転車隊がこんなに多いVなのに、私は未だに自転車を所有していない。Vの自転車隊は、ものすごくスポーティーで、本格派。そのままトゥール・ド・フランスに図を切り取って貼付けても、完全に馴染む姿のライダーが多い。当然、乗ってる自転車も本格派高級自転車の人が多い。

ちょっと自転車でも買ってみようかな。なんて思ってお店をチラチラ覗いてみたのだけれど、一番安いので500ドル(五万円)くらいする。自転車って、そんなに高かったっけ。あんまりカッコよくなくていいんだけどな。カッコ良すぎると盗まれそうだし。

自転車泥棒と言えば、思い出すのは『自転車泥棒』。
果てしなく切ない映画。

自転車泥棒 [DVD]

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何度観ても、切ない。

朝顔日記:31日目:4枚目の葉っぱらしきものぐんぐん成長中。

☆ 自転車の連なりゆくや夏の夕