ぞぞーん

Vの宵のアートイベントに出掛けて、フレンドリーなパフォーマンス作品などをニコニコ楽しんでいたら、最後の出し物が「こっくりさん」だった(こちらではウィジャボードとか言う)。がーん。私の顔がこわばり始めた。

いろいろと前説があった後で、アーティストの女性と詩人の二人が、霊を呼び出すと言う。「誰かいる?」「いるの?」「いますかー?」などと二人は何度も呼びかけるのだけれど、逆さにしたグラスはピクリとも動かない。その時、私の額に冷や汗が伝っているのに気づいていた人はたぶん誰もいない。

そのうち、「観客の協力が必要」なんてことになり、隣の人の体に手を置いてサークルをつくってー、とかいう辺りで、私の目盛りは完全に振り切れた。だめー、いやー、いやいやいやーん。その場で立ち上がって暴れ出そうかと思った。

隣に座ってたお兄ちゃんの誘いに激しく首を振り、私は参加を拒否。お兄ちゃんは「なんでぇ?」という顔で不満そうだった。

そう、ここはV。観客がどこまでもフレンドリー&ポジティブな街なのだ。パリのように悪態ついて途中で出て行く観客も、「おいおい、こっくりさんアートにしてどうすんねん!」と突っ込む関西人もいない。

二つの見方がある。
その一:信じてるので、憑依が怖い&霊に失礼。
その二:信じてないので、もう全て嫌。

そしてもう一つ、
その三:これってアートか?

私は向こう側の世界というのは結構信じているのだが、どっぷり浸かっているというタイプでもなく、そしていつもアートってなんだろなんだろとかねちねち考えるヤな性格なので、この三つがぐるんぐるん混じりあって、耐えられないテンションになってしまっていたのである。

結局、霊は降りて来なくて、なんにも起こらず終了。
私は実のところホっとした。

それにしても冷や汗。ある意味、夏の夜の肝試し的出し物であった。ひやーん。ぞぞーん。
降霊術とアート、その距離はいかに。
次はアート百物語とか、そういう企画やらないでね。
その場合、私は会場から後ろも見ずにとっとと逃げます。

朝顔日記:22日目:双葉の真ん中から三番目の芽がはっきりと。双葉はつるつるだったのだけれど、三番目のは柔らかな毛が生えてる。

☆ 口数の多くなりけり肝試し