歩くDNA

ぴかぴかに晴れた。入道雲が青い空にむくむく踊り込んで来ていて、そいつらを見ているだけで、わくわくする。本当ならば、このまま海辺にでも行って、夏の光を楽しみたいのだけれど、そこに重くのしかかるのは仕事の山。しかもそのどれもが難しい出口なしの面々。どこから手をつけていいのか、それを考えただけで溜息が出る。このぴかぴかの光と、この溜息の翳りとが、心を引き裂く朝なのだ(はは大袈裟)。

というわけで、今日は再び、作業に必要な素材を探しに街を歩き回ることにした。またしても、5時間くらい歩き回ってしまったのだが、気づいたのは、歩き回るとやたらに気分がよいということ。足の辺りの疲労感とか、汗ばむ感じとか。やはり歩く&走る家系の血は争えないということか。子供の頃は走る祖父、歩く父の汗臭い感じが「やだなぁ」と思っていたのだけれど、何十年も後の夏の日に、早足で歩き回った後のこの心地よさを否定することはできない。そういえば、普通ならば誰でもバスに乗るような距離を、父は毎朝、わざわざ歩いて通勤してたらしい。この歩くDNA、一体何なのだろう...。

歩いた後のやたらに爽やかな汗。快い眠り。一杯の水の旨さ。そういえば、父はいつも一杯の水を寝る前に飲みながら「水程うまいものはない」とか「寝る程楽はなかりけり」とかなんとか、変なことを呟いていた。結構あれで、達観してたのかもしれない。

朝顔日記:15日め:水やり。変化なし。双葉が並んで三つ。なぜか鉢の同じ側に三つ出たので、葉っぱがすこし重なりあって窮屈。

☆ 入道の馳せ参じてや空の青