ほわほわほわほわ

今日も朝5時に起きてみた。5時の世界は青い。そういえばF犬街のJ親方が、この早朝の時間のことを「青の時間」とか呼んでいたような。たぶん、5時よりももうちょっと早い時間じゃないかと思うのだけれど、夜の生物が寝静まって、昼の生物が起きるちょうどその境目の、誰も起きていない時間のことらしい。朝5時にはもうピヤピヤ・ピヤと鳥が起きているわけなので、本当の青の時間じゃないのだけど、まだ少し青さが残っている。

今日は珍しく、一種の面接のようなものに呼ばれていて、割と早く出掛けた。こういう状況ではひどく緊張するのが常なのだけれど、今日はなんかとても楽しかった。別にこの面接によって、明日から仕事が来るとか、そういう直接的な面接じゃない面接なのだ。変な面接だよね、これは。でも、今まで何を大切にしてきたのか、それをどうやったら世界に繋げられると思いますか、みたいな、まあもうちょっと具体的なことをいろいろと尋ねられて、予想外に口からあれこれの思いが零れ出て来て、それが案外ちゃんと形になっているので、自分でも驚いた。こんな面接なら毎日でもやりたい。

と、その帰り道、空中にたくさんの白いほわほわが浮いている。浮いているだけではなくて、それがスローモーションで降りて来ている。ちょっと雨まじりの灰色をバックに、カメラで撮影してみたのだけれど、たぶんこのほわほわは白すぎて軽すぎて、柔らかすぎて、カメラには収まらない類のものらしい。ほわほわは巨大樹木の上の方から降って来る。花なのか、実なのか。なんていう名前の木なんだろう、何なんですか、ねえ、ねえ、と通行人のおばさんに尋ねたいくらいだった。

わあ。ほわほわが、たくさん、降りて来る降りて来る。
天使の羽根。
まあ、とろり甘めに言うとそんな感じ。
羽根というよりは、こいつら一匹一匹が、
個別の天使だね。
ちっこいねえ、軽いねえ、それにしても、天使どの。

そういえば、ずっと昔、フランスの北の方でワークショップとやらをやってた時に、やっぱりこのほわほわが一匹頭の上に飛んで来て、それを息でふっと吹いては空中にもっと舞い上がらせて、「天使だ天使だ」と騒いだことがあった。その時にそのほわほわを天使だと最初に言った人は、フランスに住んでいる面白そうな日本人のアーティストの女の子だった。どうしているのかしらね。何か彼女も、とても小さい世界に惹かれているみたいだったのだけれど。

家に帰って、木の名前もわもわの正体について探ってみたのだけど、どうやら柳一族が怪しい。「柳絮」という情感のある言葉も発見。『銀泥』という木のじゃないかという情報も。どれも響きのいい名前。あの木の大きさと葉の形は、普通の柳じゃなかったな。もう一度観察しに行かなければ。というわけで、ちびな天使が空占有中。

☆ 柳絮降る天使少女の肩に乗る