映っていない事柄について

Nに居ながらにしてVの街で起こっているオリンピックを眺めるも一興。なんで今この瞬間に帰って来ちゃったのよお、と、皆にがっかりされる。でも、あちらで起こっていることを、こちらの窓を通して見るのはなかなか面白い。窓枠の外にあるものを知っているだけに、映っているものよりも、映っていないもののことの方が気になるのだなァ。Nに居て四角いテレビの窓を通してVを見ている人は、そこには決して映らないホームレスのおっさんらの姿や、近所のガランとした路地や、水たまりで餌をついばんでいるカラスの家族のことや、ポーポーと鳴る汽笛のことをVと繋げて考えたりしない。Vが画面の中ではそれほどVらしく見えないのがちょっと気になる。テレビの情報って、常にそうだってこと、結構今まで忘れてたよ。