植物連中晴れ舞台

ピヨコ息つく暇なくツアー敢行中なり。
食べる食べる食べる。
飲む飲む飲む。
喋る喋る喋る。

本日のメインイベントのみ報告。

V市の秘密の花園、ヴァン・ドゥーセン植物園に「フェスティバル・オブ・ライト」を観に行く。今年の夏、何度も散歩して、何度も午後の読書して、何度もうたた寝しそうになった馴染みの植物園の植物連中が、本日はまったく別の装いで登場。木という木、植物という植物に施された何千個ものイルミネーション。光の花畑。ここに踏み込んで「ウワア」と言わない人は、たぶん一人もいない。

息子はずっとこの光の世界に住みたい、とかなんとかいいながら、やたらに写真を取りまくっている。
とーちゃんかーちゃんも、思わず口元が緩んでいる。「ウワア」という声が漏れている証拠だ。

ピヨコはピヨコ星のことを思い出した。ピヨコ星にはフルーツドロップみたいな虹色の光に一面覆われた場所がある。ピヨコばかりでなく、人間もまた、一生のうちの割と初めの方にこのウワア光の平野を通ることがあるらしいのだけれど、大抵の人はその景色のことを忘れてしまう。V市秘密の花園で一年に一度、クリスマス付近の数週間だけ行われるこの光のフェスティバルに来た人は、ラッキーにも昔通過した光の平野のことを思いだしながら「ウワア」と声を発することになる。「こんなもの、いままで一度も見たことないわ!」とカンドーの声を漏らすおばさま一行とすれ違う。一度も見たことない、というのは、でも違うんだよな、とピヨコは聞き耳を立てる。忘れていただけなんだよーん。だから、心の深いところまで光が沁みるんだよ、なんて、偉そうにうんうんと頷くピヨコ。知ったかぶりめ。

30分毎に、光のダンス・ショーが始まって、音楽に合わせて光が踊る。電飾は木や茂みに取り付けられているので、植物連全体が踊っているみたいだ。

きれいー。一行は、溜息を漏らした。

晴れ上がって、空の一番高いところには、月。

息が白い。魔法の夜が更けて行く。植物連中、お疲れさま。