トラを求めて三千里

曇り空の中を出発。本日はVのあちこちを彷徨いながら、トラを探すのが使命なのである。毎年この季節になると、翌年の干支を探す。探しているのはミニチュアのトラ。粘土をこねくり回して自分で作ってもいいのだけれど、おもちゃやの隅っこで眠っているような輩と遭遇するのが楽しいので、取りあえずは作らずに、街中のありそうな場所をしらみつぶしに回って「探し出す」ことにしている。

昨日すでにサイエンス・ワールドのお土産ショップをチェック。ハエ、カブトムシ等の虫類はたくさんいたし、恐竜連中もたくさんいたけど、トラの姿なし。まあ、動物園じゃないから、トラがいないのも当たり前。V市には動物園がないので、トラに出遭いそうなロケーションが少ない。V市は水族館が凄いけどね。ウェブカムがずっとベルーガクジラの様子を放送してるベルガ・カムに加えて、最近はラッコ・カムも登場したらしい。V水族館のHPを覗くと、すべすべのベルーガくじらがすいすいしてるところや、ラッコがぷかぷかくるくるしてるところが世界のどこからでも「いつでも」見れるのだ。見るべし。そして、なんと最近、水族館の中に4Dシアターというのがオープンしたらしい。3Dじゃなくて4Dって現実世界を超えてないか? 

噂によると、3D眼鏡で映像が飛び出す上に、イルカが跳ねると水しぶきがどこからか掛かったり、風が吹いたりするらしい。行かねば。

さて、ベルーガやラッコの居場所はこのように知っているのだが、トラはどこにいるのやら。おもちゃや一軒目。クリスマスのプレゼントを探しているらしいお母さんお父さんが多数。平日の昼間なのにね。一つのお店の中にベビーカーが4台くらい犇めいている。ベビーカーをかき分けつつ店の隅々までしらみつぶし。大抵、小さな動物模型なんてのは、レジの近くに「一個45セント」などという値段がついて、透明の入れ物にがさがさと入れられていることが多いのだけれど、このお店でもそんな山を発見。でも、中にいるのは、鼠かなあモグラかなあそれともウォンバットかなあと色も姿も謎の動物ばかりで、トラの姿見えず。実は、ドイツのフィギュア・メーカー製のかなり精巧な動物シリーズはここのおもちゃやにも置いてあるのだけれど、どこから来たのかいつの間にかお店の隅っこにいた、というような謎めいたヤツが待ってるような気がするので、次のお店へと向う。

次なる目的地は、Vの観光名所、グランビルアイランドにある子供ランド(おもちゃやさんの集合体みたいなところ)。お店の外で、サンタクロースとすれ違う。サンタクロースはアヒルを抱いていて、私に何か一言二言呟いて通り過ぎて行った。「トラはどこにいるの、サンタさん!」と叫びたかったけれど、サンタは割と事務的な歩調でさくさくと通過。仕方ないので、子供ランドの中のおもちゃやをしらみつぶしに4軒くらいハシゴしたけれど、やはりトラはいない。ビニールのケースに10匹くらいずつ入っている動物セットがいくつかあったのだけれど、「海の生物」だとか「いろんな昆虫」だとか、「オーストラリアの動物」だとか「農場」だとかのパッケージで、どれにもトラがいない。一番近かったのが「サバンナの動物」だったのだけれど、チーターみたいなのは入ってたけど、トラはいなかった。ここでも恐竜パックはよりどりみどり。恐竜って人気があるんだなぁ。

結局トラは見つからず、やや意気消沈の帰り道、またサンタに会った。今度はアヒルじゃなくて、ミニサンタみたいな操り人形をふわふわと歩かせながら、子供たちを集めていた。同一人物なのか、それとも二人いるのか、あるいはあれは本物のサンタなのか、不明である。

ああ、それにしても、トラはどこにいるのかなあ。旅は続く。