もしオフィスに勤めてたら

雨。ちょっと寝坊して、部屋の掃除の後、ラボで仕事。昨日のS市への小旅行の目的の一つはVで手に入りにくい画材をゲットすることだったのだけれど、いくつかは手に入り、いくつかは手に入らなかった。「私の世界の巨大な作品=世の中の人の普通の大きさの作品」作りのために、巨大な紙が大量に必要だったのだけれど、これは入手できた。Vは画材が見つかりにくい上にものすごく高くて、ちょっと困る。かなり困る。時々溜息が出る。Sの画材屋さんには私が$10ちょっとで買った巨大な紙のロールの他にも、超巨大なロールも売っていた。なかなかSまでは出掛けられないので、もう一巻き二巻き買って帰りたいところだったのだけれど、とりあえず今回は小さなロールの方を一巻きだけに留めておいた。それでも大収穫。その他、アクリル用の瞬間接着剤や小型の角材など調達。

手に入った素材を作業台に並べると、なんだろう、ワクワクする。どれをどうしようかなー、どこからしようかなー、とか思いながら、あ、いつもは空っぽの場所に、一つの方向性みたいなものが芽生えているのに気づく。なんだこれ。外は雨で、カーテンすら開けていないラボの部屋は蛍光灯が三つ灯って少し寒々としているのだけれど、雨に濡れていたはずの奥まった場所がちょっと今日はニコついている。おー。雨が土壌を濡らしておいたところにワクワクの光が到来したら、そしたらどうやら何かの芽が出て来たらしい。種蒔いたのいつだったっけ。蒔いたんだったっけ。と覚えすらないのだけれど。うずうずと芽吹く感じ。これを世に、やる樹じゃないややる気とでも言うのやら。

珍しく「やる樹」が生えて来たので、そのままラボにしばらく籠ってあちこちしているうちに、外はもう暮れている。腕がちょっと筋肉痛。心はでも軽い。今日は雨にも負けず。雨を見方につけてゆくらし。るん。

実は。ここ数日で、アイツに完全に洗脳されてしまった。うっかりすると、口から "Is she having laugh?" とかいう頭に張り付いたキャッチフレーズが漏れ出しそうになり、テーマソングは繰り返し、耳元にけたたましい笑い声が響く。誰の? そう。彼の、アイツの。その罪作りなアイツとは。イギリス版『The Office』で一躍有名になったRicky Gervaisなんである。元祖『The Office』に続き、『Extras』の全シーズン、そして『The Office』のスペシャル番組まで立て続けに見たのが祟ったらしい。リッキーに取り憑かれている。リッキーなしで一日が過ごせるのだろうか。惚れたというよりも、「あたった」という感じ。脳の奥の方がやられている。

古今東西にいろんなコメディアンがいるけれど、やたら気まずい居心地最低の寒い空気をここまで天然で作る男も珍しい。ちょっとした目の動き、体の揺れ、口元の角度なんかから、笑いの奥にある人間のずるさ、小ささ、臆病さなんかがチラチラ見えて、笑いながら情けなくなり、呆れながらフと我が身を振返り。やっぱりこれはあたったというよりも惚れたのかもしれぬ。と、言った瞬間に「そんなわけないだろ!」と突っ込みが必ず入れるところがいいぞ、リッキー。

などと言いながら、『The Office』も『Extras』も見尽くしてしまったので、ここでおしまい。でも、リッキーの前と後では、どうも世界が違って見えるぞ。これでオフィス勤めなんかもしやっていたら、毎日ちっちゃく笑っちゃって大変だろうな。たぶん。

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