まあ風邪の日の郷愁ですけれど

晴れた。そして、今朝は熱も下がり、ウイルスによる↑→↓攻撃も一段落。ほーっ。生まれ変わったような朝である。
でも、まだまだ体がフラフラしているし、この保菌状態で人に会うのも危険であるので、ウチに閉じこもって一回休み状態。

朝からダラダラとTVを見たり、本を読んだりして休養。こんな時にフと思いだすのは、遠い昔のカゼの日のこと。

Nの冬は寒く、北風の吹く頃になると、ちょくちょく風邪を引いて、学校を休むことがあった。朝起きると熱っぽい。喉が痛い。体温計で熱を測る。37度あったら学校がさぼれる。炬燵にもぐりながら体温計で熱を測って、ズルしたりしたこともあった。たぶん、小学校の6年間で、3回、もしかすると5回くらいはズル休みしたと思う。本当は36.7度くらいの熱を37度まで上げるテクニックに長けていたのである(ぜんぜん自慢にならないな)。

でも、ズルなんて考えつかないくらい、本当に具合の悪いこともよくあった。ボオっとした体で、居間のテレビの前に引かれた布団の中で一日を過ごす。すごい腹痛や嘔吐に襲われて、母親が血相変えて病院に連れて行くなんてことも、結構あった。病気で休んでいる日には、特別な匂いがあった。冷ました番茶を入れた吸い口。マスク。ルゴール。氷枕。氷嚢。おかゆ。すりおろしたリンゴ。そして、なんといっても「小学X年生」という、あの雑誌。

普段はマンガ雑誌などを買ってもらえなかったのだけれど、病気になると、いつもなぜか「小学X年生」が枕元に届くのだった。ほぼ必ず。あの、付録で膨らんだ賑やかな雑誌は、表紙を見ただけて元気が出て来る、そんな魔力を持っていた。付録に付いて来たソノシートやすごろくで遊んだり、寝転んだままでマンガを読んだりした思い出が、そのまま風邪の日の思い出と重なっている。風邪を引くと、ものすごくダルくて難儀くて(なんぎくて...これはN弁)、大人はいつまでも下がらぬ熱に気をもんでいたのだけれど、熱でぼおおっとしつつ「あ、小学X年生買ってもらえる」などとチラりと考えてちょっと嬉しくなってたことも告白せねばならぬ。

その「小学5年生」と「小学6年生」が休刊になるんだってね。イマドキの子供はきっと、ゲームして過ごしたりするんだろうな、風邪で一回休みの日。
風邪の日の風景も、匂いも、少しずつ変わってゆくのだな。やや寂寥。秋の暮れ。そして、今のところ私の枕元に「小学X年生」は届いていない(何年生だよ、おいおい)。