風邪なので映画を観た

雨です。今日も雨。そして、本日は風邪気味なので、家に籠って過ごす。だらだら寝てみたり、パラパラ本読んでみたり。それにしても降り続くなあ。街が中まで完全に濡れている。ウチにはしかし、Vの長雨に対抗するための2つの秘密兵器あり。一つは除湿器(勝手につけた愛称:シロクマ1号)、もう一つは太陽の光にとても近いとかいうフル・スペクトルの電球(本日命名:てんとちゃん1号)。この二つが雨の日はフル稼働する。シロクマ1号が集める湿気の量なんて、恐ろしい程だよ。そしててんとちゃんを点けると夜でも「あれ、昼?」とこっちが騙されるくらいの威力だ。

しとしとじめじめじとーんひえひえ、心も体もどうも沈みがちな季節なのだが、シロクマとてんとちゃんの助けにより、今のところは快適に日々を送っている。こいつらがいなかったら、どういうことになってるだろう。考えただけでもじとじとする。なんでもVではこのじとじととした雨の多い気候のために、精神を病む人も結構多いらしい。そんな時に、病院でフル・スペクトル電球が「処方」されることがあるんだって。友達が教えてくれた。

おてんと様の有り難さを今更ながらに感じるな。植物が水と光なしには生きて行けないように、人間にとっても水と光は欠かせないらしい。ああ、晴れないかなぁ。

テレビをつけたら、『The Blob』という1950年代に作られたB級SF映画をやっていた。日本で公開された時のタイトルは『人食いアメーバの恐怖』あるいは『マックイーンの絶対の危機』と言うんだそうだ。なんで「マックイーンの...』などという題名が付いているかというと、無名時代のスティーブ・マックイーンが主役を演じているのだ。宇宙から隕石の中に入って地球にやってきた謎の宇宙生物(blob)が、人や動物なんかを食べてどんどん増殖するという、しょうもない話。この宇宙生物が昔懐かしいスライムを思いだすようなゼリー状のぷよぷよした塊で、これがドアの下の隙間、換気口のスリットなんかからどろろ〜んと入って来て、人を襲うのだ。

こういうローテクSF映画大好き。今時のハイテクSFXはどうも苦手なのだけれど、とにかくアイディア勝負、低予算で作った『The Blob』みたいな映画は、あちこちに頭を捻って考えた工夫の跡があって、それが楽しい。ぷよぷよ揺れるシリコンの塊と死闘を繰り広げる俳優陣...なんていう撮影時の風景を思い浮かべるだけで楽しくなってくる。でも、B級はB級。スンバラシイ映画というわけにはいかないけれど、ね。

というわけで、夜はそのスンバラシイ映画の方を観る。日本では(いや、こっちでも?)あまり知られていないジョゼフ・ロージー監督の映画"The servant"。ハロルド・ピンターが脚本を担当した作品。召使いと主人の立場がいつの間にか変わってしまうという、結構ありがちな話ではあるのだが、さすが脚本がすばらしい。とっても妙〜な映画に仕上がっている。わけわかんない。恐ろしい。不快。笑える。深い。カメラワークも優れていて、ドキっとするような冴えた絵が散りばめられている。音楽の使い方もへん〜。音と映像の関係だけで、なんども深いところで「ずふ」と笑ってしまった。こういう映画に出会うと、なんだかこれまた嬉しくなるのであった。風邪の日もまたよし。コホン。