百葉箱の斜め向かい側は放送室

天気はまずまず。今日から毎日、天気を記録してみようと思う。V市の冬は雨が猛烈に多いという気がするのだけれど、もしかしたら単なる心理的な問題かもしれない。これを科学的に検証するためには、観察&記録である。
あ、何か今頭を過った。
ああ、なんだっけ、そうそう「百葉箱」だ。あの、小学校の校門をちょっと入って左側にあった白い小さな家のような物体。いつもものすごく気になっていた。

中に何が入ってるんだろう、誰か住んでるんだろうか、なんて想像したりして。この小さな家型物体の向い側には小さな池があって、その横に二宮金次郎が立っていたような気がするのだが、もしかしたら、池があったなんていうのは幻かも知れない。今となっては、もうその場所に行って確認することもできない。小学校は今でもそこにあるけれど、木造の校舎は壊されて新しいのが別のところにできて、二宮金次郎もたぶん昔の場所にはもういない。百葉箱はどうなったんだろう。突然そんなことを思い出した。

百葉箱の中に入っているのが、温度計と湿度計だってことを知った時には、ちょっとがっかりした。なんだ、何か不思議な小さな生物が生息しているとばかり思ってたんだもん。そして、なぜ温度や湿度を測るのに、あんな家みたいなものが必要なのか、先生に教えてもらっても、どうしてもずっと納得がいかなかった。

理科の授業で、百葉箱を使って温度と湿度を毎日記録する、なんてのをやったような気がする。その時は毎日あの小さな家の小さなドアを開けて、そっと中を覗き込んだのだけれど、中身が分かってしまってちょっと興味が失せて、百葉箱から斜め45度の向い辺りに当時あった「放送室」で、油を売っていることが多かったな。

そうだ、放送室で、いつも油を売ってたんだ。放送委員にいつも立候補して。マイクとか、放送とか、録音とか、そういうのがやたら好きでもうすごくワクワクして。放送室はちゃんとぶつぶつの穴の開いた防音壁で囲まれていて、工業製品っぽいでかいグレーのミキサー(今思うと、あれってミキサーだったんだよな!)があって、そこから蛇腹みたいなのの先についたマイクがにょきっと伸びていた。スライダーを上げて、白い四角いボタンを押す(あれって、ミュートボタンだったんだよな!)そして放送開始。朝の登校時、お昼休み、下校時なんかに放送する言葉が決まっていて、それを読むんだったっけ。「全校の皆さん、下校の時間になりました。忘れ物のないように注意して、早く下校しましょう」とかそんなんだったっけ。その時々に流す音楽も決まっていて、カセットテープの頭出しをして、スライダーをすーっと上げてそれをナレーションにかぶせる。まず音楽から入って、そして音楽のボリュームを絞ってMCを重ねて、言葉が終わったところでまた音楽のボリュームを上げる。結構、その辺りのスムーズなイン&アウトとかバランスとかタイミングとか、完璧にやってたような気がする。誰も気づいてなかっただろうけど、自分では「よし!、今のタイミング。うーん、しびれる!」とか勝手に盛り上がっていた。アナウンス室の奥には、なんとガラス張りのレコーディング室もあったよ。

掃除の時間になると、いつも放送室に行って、掃除をさぼってた。そのうち、教頭先生にそれを見抜かれて、叱られたりもした。いやあ、楽しかったなあ。学校の中で好きなことできる、秘密の空間だったもんね、放送室。

実はその放送室で、人生最初の放送劇(ラジオドラマ?)の制作を友達とやったのだけれど、その話はまたいづれ。長くなっちゃうんだもん、放送室のはなし。はは、思い出したらいろいろと楽しくなってきた。なんだ、天気のことを考えていたのに、全然別なこと思い出したよ。百葉箱の中に、思い出が入ってた。