閉塞感

☆朝からしとしとと雨。空は低いし湿度は高いし、こんな日は心が低空飛行する。身体細胞の一つ一つが不活発化して、動きが鈍くなり、思考は枯野を駆け巡り、なんだか全てを投げ出して降参、地面に体をドサリ投げ出したくなる。とはいえ、しとしとと冷たい雨。そんな地面に倒れ込んで大の字で全てを放擲するだけの度胸もない。ということで、以下☆に戻り反復。

身体感覚に乏しい日であるが、夜になって芽キャベツをローストして、昨日のチキンの丸焼きと一緒に食べてみた。芽キャベツは命の塊のような味がして、細胞が少し頭をもたげた。芽キャベツというのは、ものすごく小さいキャベツのような形をしているが、あいつらは枝に生る。キャベツとの親戚関係はどうなっているのだ。英語ではBrussels sproutsと呼ばれているのだが、なんでブリュッセルなんだろう? F犬街に居た時に、ブリュッセル芽キャベツって、あんまり聞いた事なかったが。ちなみにF犬街方面でよく食される野菜はエンダイブであった。日本ではちょっと高くて手のでない、不思議なアイツだ。F犬街などでは、値段が安いこともあり、これをわんさか買って来て、ハムでぐるぐるっと巻いて、ホワイトクリームで煮込む。こいつが家庭料理。今頃の季節にはとろり温かく、ちょっと苦みがあって、旨いよ。

なんだか投げやりな一日であったけれど、形がはっきりしない一日に少しでも形を付けようというわけで、夕食後DVDで映画を見る。V図書館で適当に借りて来たブツなので中身の予想がつかない。深作欣二監督の『君が若者なら』(1970)という青春映画。いきなり主役二人が石立鉄男前田吟。しかもたぶん二人とも20歳前後という感じ。髪の毛がストレートでマッシュルームカットの石立鉄男って、それだけで凄い。あのアフロな毛髪は、天然じゃなかったのか...。しかも、結構かわいい青年だったりして、ギャップが...。前田吟は角刈り。やたらめちゃくちゃに(ほとんど両手ぐるぐるで)走るシーンが多い(両手ぐるぐるというよりは、両手パンチパンチパンチという感じか)。あとは、乱闘シーン。なぐるなぐるなぐる。そして吠える吠える吠える!!! カメラワークなんてあるのかないのか、酔っぱらって乱闘するシーンはカメラ自身がラリラリになって周りのバースナックの看板をめちゃめちゃに映すし、船酔いしそうなアクション撮影続出。

君が若者なら [DVD]

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おまけのインタビューの中で、深作監督が『君が若者なら』の時代の若者よりも『バトルロワイヤル』の時代の若者の方がずっと希望がなく、閉塞感が強いというようなことを言っていたのだが、バトルロワイヤルよりも更にすすんだ今、同じテーマで青春映画を作るとどんな感じになるのかな。走ったり、殴り合ったり、吠えたりは、最後の最後までやらないんだろうな。ちなみに当たり前だけど『君が若者なら』の中には真っ黒な電話はでてきても、携帯は出て来ないし、パソコンなどは影も形もない。

でも、あの殴る叫ぶ押し合う走るのエネルギーって、今も底に渦巻いてるはずで。かなり怖い。