花ちゃんの帰還、視覚の限界&可能性(+あーあ)

晴天。なれどぐっと寒くなってきた。ベランダ植物連に、液体肥料を飲ませる。ミックスサラダは完全に自己主張するところまで成長。身長5センチほど。でもまだサラダのサくらいのところまでしか到達していない。こんなに寒くなっちゃったけど、寒さの中でもこれからかなりの所まで成長するんだろうか。それともやっぱりプランター畑には限界があるのだろうか。日々観察。

と。ここ数年、全く花を咲かせなかった菊の鉢(愛称・花ちゃん)に肥料をやっている時に、フと見れば元気に茂った葉っぱの重なりの山の頂上あたりに、え、あ、お、わ。莟らしきもの発見。咲くかも知れません、この秋。長い沈黙を破って遂に! 一体どんな色に、どんな形に! 確か花ちゃんはオレンジ色の菊だったような気がするのだが、遠い記憶の中に咲いているだけで、今となってはよく覚えていない。ずっと枯れそうになってたのを、今年の初夏に植え替えをして、毎日水くれしてたのだ。どんなの咲くかな。わーい、花ちゃんが帰って来る!!

数日前に徹底的なソージをしてから、更に毎日「微掃除」を繰り返している。遂に、このコンドに引っ越してから一度もソージをしたことがないという、「恐怖の引き出し」のソージを決行。いや、出るわ出るわ。いろんな請求書だの領収書だのが、引き出しの裏側に溢れながらぎっちり詰まっているこの恐るべき小空間。格闘すること2時間。容積にしたら靴箱3つ分くらいしかないと思うんだけど、この引き出し、どうやら中で四次元につながっているらしく、いつまでたってもソージが完了しない。いつもならここでメゲてソージを適当なところで切り上げるのだが、今日はとことんいく。2時間半経過で完了。中から、ずっと探してたアイディア帳なども出て来て、やっぱりソージの威力は凄い。

DVDで増村保造監督『盲獸』を見る。DVDレンタルサービスに登録してて、ピックアップしといた映画の中から、毎月向うが適当に選んで送って来る方式。いつこの映画リストに「もーじゅー」なんてのが紛れ込んだのか、何故にリストに入れたのか、よく覚えてないのだが、来ちゃったものは見るしかない。え、主演が緑魔子。しかも原作は江戸川乱歩。英語のタイトルは『Blind Beast』というのだが、日本語の「盲獸=もうじゅう」という語感のオドロオドロシさが翻訳しきれてるかはちょっと謎。

盲獣 [DVD]

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なんだかやたらと物語をなぞるような説明的ナレーションが多いし、セリフも取ってつけたような感じで思いっきりわざとらしいし、演技はやたら大袈裟で歌舞伎みたいだし、映画としての出来とかってのはあまり語る気にはなれないのだが、若い頃の緑魔子は一見の価値有り。目が本気の怪演。しかも、ものすごく巨大な人体の舞台セット(これは見てない人には説明が難しいのだが...)も凄い。体の上で体がのたうつという設定も、一応ストーリーの中では不自然ではないのだが、実際にハリボテの巨大な体が画面を埋めると、もうなんだかよくわけが分かんなくなってくる...と書けば書く程怪しくなって行くけど、いや、やっぱり怪しいよなぁこの映画。普通ならば空想に留めておくような類のものを、実際にセットも作って目に見える映像にしちゃったというそのエネルギーには脱帽。それにしてもこんな映画が作られて、フツーに公開されていた1969年っていう時代も凄いよなぁ。悪趣味ギリギリ。よく分かんないチェンバロの入った気怠い音楽がますます狂気を駆り立てるし。でも、やっぱり、巨大なセット作っても緑魔子が存在の全てを賭けてのたうっても、どうしても原作の小説の闇と恐怖の深さには届かないような気がした。視覚の限界? それとも視覚のひとつの敗北...。

もう一本、DVDで1992年のドキュメンタリー映画『Visions of Light』というのを見る。この映画、NHKが共同制作になっているので、たぶん日本語版も公開されてると思うんだけど。シネマトグラフィーの技巧をDP=director of photographyの視点から描いていて、まだ見てなかったいろんな映画の断片が例として紹介されていて、ものすごく見たくなる。映画って監督や役者の名前で有名になるのが常だけど、実は一番映像そのものに直接関わる仕事をしてるのがDPだったりする。Sven Nykvistのドキュメンタリーは前に見たことあったけど、Vittorio Storaroなんて、「おー、この人がああいうすごい絵を撮ってたのかー」と、本人インタビューでカンドーした。これからしばらくは、監督ではなくDPで映画を観る日々が続きそう。視覚もやっぱり凄いよな。そして彼らは「シネマトグラフィーとは、一人では決して到達できない諸要素の接点にある芸術なのだ」なんて言うのでした。カンドー。

Visions of Light: Art of Cinematography [DVD]

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大相撲秋場所千秋楽を見る。V時間の深夜1時半ごろ優勝決定戦。ああっ、あー。あ...あ。...やっぱりガッツポーズ出ちゃったか。今日は珍しく彼を応援してたんで、あそこでグっと堪えて、横綱の風格見せて欲しかったのにな。あーあ。