・・・の謎

寒い。外に出たくないくらい寒い。夏の始まりも夏の盛りも夏の終わりもはっきりしないままに夏終了。夏の終わりというのはやってきたばかりの秋と混じりあいながらいつのまにかなだらかにゆっくりとまったりと後ろを振返りつつメランコリックに秋の始まりへと移行するのかと思いきや。甘い名残などというものは全く残さずに、あまりにもあっけらかんとはいはいはいっともう秋。この執着のなさには呆れる。しかも、始まりからもうこの秋は随分と深まっていて、これが恋愛ならばときめく前にもう別れの季節という具合。寒いんだよ、V秋。

なんとなく猫でも家にいたら毛皮がほかほかして温かいだろうなあなどと変なことばかり考えてしまうこんな寒い秋の日のベランダで、しかしながら「サラダミックス」の芽がすごい勢いで成長している。種って面白いなあ。植えてからまだ数日しか経っていないのに、しかも適当に土を被せて水を撒いておいただけなのに、まずはちっこい根が発生、そして目に見えるか見えないかくらいの葉っぱがポチっと出現したかと思ったら、昨日辺りにはそれが明確な双葉ちゃんとなり、そして今日にはかなりの大きさの双葉ちゃんが土の面びっちりに生えて、これがまた眼に見えるくらいの速度でデカくなっている。

一体あの種の中で、何が眠っていたのだろうか。あんな丸っこい、世界で一番小さい・の中に、何が入ってるって言うんだろう。謎の・・・・・。思えば人間もまたこのような・・・から始まる。しかし種の方はもっとすごい。・と・が出会ってどうのなどということは既にその前に済んでしまっているので、発生する時にはこのたった一つの・が必要なだけだ。眠っている時の種の気分というのを想像してみる。芽を出す日を待ち望んでいるのか、それともそんなことは全く予想していないのか。水と光がやってきた時に超人ハルクのようにメリメリっと種が裂けて「あれれっ」と自分でもその身体変化に驚くのか。それとも「よしきたっ」待ってましたの構えなのか。

どっちにしろ、こいつらはスゴい。しかも、更にスゴいのは、直径5mm×2でぱっと手を広げた形で開いた双葉ちゃんたちが全く同じ顔をしているところ。人間も2歳くらいまで顔が皆同じだったら凄いだろうな...。この「サラダミックス」の中には小松菜、水菜、カラシ菜(グリーン&レッド)、ルッコラ、タアサイ、ハクサイなどの全く別の植物が混じっているはずなのだが、現在はどの双葉ちゃんも全く外見が同じで見分けがつかない。一体これからどうやって水菜だとかルッコラだとかに変身するのか。なんで、水菜の双葉は最初から水菜らしくちっこいギザギザの葉っぱだったりしないんだろう。いつギザギザ葉のDNAが効き始めるのか。何故に。

これから毎日、双葉ちゃんたちがどうやって個性を発現するのか観察してみることにする。∞∞ ∞∞∞∞ ∞∞ ∞

トマト7号&8号収穫。トマトにはまだ何十個も小さく青い実がついているけれど、収穫まで苗木の方が持つのやら。突然の秋の襲来に、トマトの苗はかなり困惑している。