犬、カップル、寿司屋

今日もちょっぴり肌寒い。この前までの暑さがウソのよう。ベランダの植物連も「あれっ」という雰囲気。ここのところの暑さにマッサージされてグイグイ成長してた小松菜なんかが「さむっ」と身を縮めている。これから種を取り寄せて、秋に向けての更なるベジタブル計画を目論んでいたのだけれど、この時期でこんなに寒くっちゃ、本当に育つのかな、夏植えの野菜。

暑い時には、朝と晩に2回必ず水くれをしてたんだけど、昨日辺りから日中の気温がそれ程上がらないので、一日一度の水くれにチェンジ。それでも受け皿に少し水が残っていたりする。ともあれ、今ある植物たちが、無事実りを迎えるといいな。トマトにはもう30くらい花が咲き、超マメトマトが発生している。ちょっと不穏なのはイングリッシュラベンダー。買った時の1.5倍くらいの大きさには成長しているけれど、未だに肝心の花が現われない。苗の鉢についていた品種カードには「夏の間中咲き続けます!」と書いてあるんだけど、V市の短い夏の場合はどうなるんだろう。咲こうとした途端に秋なんてことになったら、残念だなあ。

さて。ここ数日、空間移動や夕暮れ時の散歩で、一日10キロ近く歩いている。海辺や街中やいろんなところを歩き回っている。ここで目につくのが 1) 犬 2) カップル 3) 寿司屋である。まず犬。夕暮れ時に海岸線を散歩していると、もう向うからもこっちからも、矢鱈に犬が登場する。でっかいの、ちゅっくらいの、ちっこいの。面白い顔の。優しそうなの。獰猛そうなの。V市の犬密度はかなり高い。都市の犬所有率なんてのを調べたら、たぶん東京の10倍、いや100倍くらいこっちの方が高そう。一人で何匹も連れてる人も結構いるし。3Dライブ犬図鑑を見ているのかと錯覚するほど種類も豊富。日本ではあんまりお目にかからないような種類の犬もいっぱいいる。ものすごーく細長いのとか、ものすごーく毛が多いのとか。私は散歩の途中で犬とすれ違うのが大好きなので、この犬犬犬過密状態の夕暮れはもうたまらなく楽しい。特に好きなのが木の枝をくわえたデカい犬と泳いでいる犬。今日は海に飼い主が放り投げた木の枝を泳いで取りに行くデカい犬を見かけてしまった。豪華。あの、泳ぐ犬の未確認物体系の「ぐいぐい水面を移動する頭」がよい。そしてまあ、この犬が律儀に何度でも何度でも、放り投げた枝を取りに行くんだよなあ。見とれた。

さてさて、次にはカップル。V市の夏の夕焼けはそりゃもう美しいので、若い男女などが水辺に出没するのは、まあ自然の摂理のようなものなのだが、夕暮れ時に散歩をしている中高年のカップルの多さにも目がいく。仲良く手をつないだりして。この絵って、日本では見ないよなあ。まあ手をつないだりする文化ではないので、そこは差し引くとしても、おじさん+おばさんが仲良く夕暮れの散歩って、あんまり見たことない。おじさんはおじさんの世界で行動し、おばさんはおばさんの世界で羽根を伸ばす。でも一緒にただただ散歩する二人ってのは、なんだろう、照れくさいのか、面倒くさいのか、やってらんないのか、とんでもないのか、理由はいろいろであろうけれど、あまり見かけない気がする。で、こちらV市。スポーティーに、さりげなく、味わい深く、歩を並べる熟年カップル達。いいんではないでしょうか、これ。日本の熟年族も、夕暮れに二人でサンポでもしてみたらどうだろう。(無理?)

さてさてさて。最後に、既に恒例ですが、寿司屋。V市はもともと寿司屋の数が異常に多いのだけれど、これでもか、これでもかと、畳み掛けるように新たな寿司屋が開店。しかも、その多くに結構たくさんの人が入っているのが不思議。私は日本人あるいはN市民の直感で、看板に「サムライフォント」(勝手に名付けてみた。本当にそう呼ばれるのかは不明。海外ではしばしば空手教室の看板とか忍者映画のタイトルとかに使用される一見和風のフォント)が使われている場合と、その看板の色の基調が黄色/青/赤などの原色系である場合、「ううん、これは...」と入店をちょっとためらう。どうもその色合い、フォントのアメリカンコミック具合が私の寿司のコンセプトとズレている。もっとためらうのは、お店のメニューの一部が日本語で書いてあって、その日本語がなんとなく間違っている場合。この「なんとなく」というのを説明するのが難しいのだが、縦書きで書いてある「サーモン」というカタカナの「ー」の部分だけ横書き風に「サ1モン」みたいになってたり(分かるかな、これ)、漢字もひらがなもほぼ合っているんだけど、余分なあり得ない濁点一個がどっかについていたり。どのひらがなも間違っていないんだけど、何度読んでみても言葉の意味が不明だったり。教えてあげようかな...と思うけれど、余計なお世話だよね、きっと。

などなど。今日も新たな犬たちと、仲のよい2人組のシルエットと、開店したばかりの寿司屋にでくわしながら、楽しい散歩。またついつい歩き過ぎてしまった。