花火をぐっと小さくして見る

A国より来客あり。カンカン照りの中を一路北へ。2010年オリンピックのメイン会場であるウィスラー方面にあるトレイルをハイキングしようという趣向。トレイルまで車で約2時間。オリッンピックに向けて、道路は車線を増やして整備され、快適そのもの。山あり海ありの美しい景色が車窓に踊る。ここ数日あんまり暑いということを考慮して、今回のトレイルはチャカマス・レイクという簡単なやつ。割となだらかな木陰の道を約一時間歩くと、翠色の水がたっぷりと入った湖に到着。サンドイッチを食べる。サンドイッチにはローカルのサラミやさんで買ったグルメサラミとガーデン菜園のバジルが挟まっている。うまいっ。

V市から車でほんの数時間行ったところに広がるワイルドな自然。しかも、この辺りでは、どのトレイルに行っても、あんまり混んでいない。1時間のハイキングの間にすれ違った人の数が15人くらい。アウトドア好きにはたまらないだろうなあ、V市。まだ行ったことのないトレイルが無数にあるので、これからもう少し涼しくなる秋にかけて、あと2つ3つは制覇したいな。折角、大自然のすぐ近くに住んでるのに、この恩恵を受けずにいるのは勿体なさすぎる。

さて、本日は、V市花火大会の最終日。奇しくも今日はN市花火大会の初日でもある。この二都市同時の花火記念日に「どーせ、V市の花火はちっこいからさぁ...」などとスネて家に籠っていても仕方がない。しかし、最終日とあってものすごい人出が予想される浜に繰り出す気力はない。さて。と、ここで妙案。

どうせちっこいのだから、もっとちっこくして見たらええんじゃないか、ということで、V市のダウンタウンからライオンズ・ゲート・ブリッジを渡り、更に北西へ。山の中腹にある夜景の奇麗なサーモン料理店に陣取って、山から花火見物することにした。午後9時に入店。花火大会は午後10時からなので、「ええっとーーーるるる〜」などとぐずぐずしながらゆっくり注文。でも、同じように花火見物を兼ねてやって来ているらしき人が多く、レストランは満席。前菜が済んで、メインを食べている途中で花火開始となった。食べかけの料理を席に残し、バルコニーに出て花火見物。最初から最後まで25分間くらいの短い花火大会なので、ボーっと立ったまま遠くにちっこく見える花火を楽しんだ。

眼下に広がるV市の夜景。宝石箱をひっくり返したような光の点々が海を挟んであっちからこっちまで視界一杯にキラキラと広がっている。その一点から打ち上がる、ピンセットでつまめそうな花火の光の輪。音も「ポン、ポン、ポンッ」とちっちゃくてカワイイ。口にポイっと入れて舐めちゃいたくなるような色とりどりの小さな球体。小さいだけの花火はつまんないけど、ものすごーく小さい花火ってのは、悪くないな。途中から、花火は煙に覆われて、ほとんど見えなくなった。雲が七色に光っているだけ。それが結構キレイである。時々、煙を突き抜けて、かなり高く上がる花火がある。N市育ちのNッ子としては「あれが一尺玉くらいかなあ...」などと、やっぱりサイズが気になるが。

25分間の花火大会が終わり、レストランの人々の間からは「すごいー」なんていう溜息と共に拍手が漏れた。私は心の中で「ちっちゃー」と叫んだ。でも思いっきりちっこい花火、なかなか楽しかったぜ。

さて、テーブルに戻って残りのメインを平らげ、その後はふふふデザートを頂きましょうか。などと。今年のV市花火大会はなかなか優雅に幕を閉じたのでした。