ときどき揺すぶりましょう

今日はほんの少しだけど気温が下がった。でもまだ暑い。朝からベランダのソージ。植物栽培に熱中しているうちに、土が散乱したり水が鉢から漏れたりしてベランダというよりは畑状態が出現。畑の目でみると、特に問題はないのだが、ベランダの目で見ると、かなり荒れ果てた様子にも映ってしまう。これはいけない。私はシティーのコンドの住んでいるシティーガールなのだ。ソージせねば、ソージ! こぼれた土を掃いただけでは、まだ物足りず。結局、ベランダのコンクリートの雑巾がけをする羽目になってしまった。水が漏れようが、土が舞い上がろうが大丈夫な庭があったらいいのだけれど、こちらは共同住宅のベランダ。水を流すと下の階の住人のベランダ部分にそのまま水が流れ落ちるという構造になっているので(考えてみるとすごいな、この構造...)、水を撒いて掃除というのもできず、コンクリを必死で雑巾がけという変な図になる。

小松菜は8割方は生き延びてくれた。もやしみたいに根の部分が細く伸びていて、これがこの先ザクザクと噛み応えのある立派な小松菜に本当に育つのかちょっと謎だけれど、とにかく毎日水やりを忘れずに育ててみようっと。考えてみると、食卓に上る野菜のほとんどのものは、一体どうやって、いかなる成長の過程を経て育つのか、育ててみたことがないのでぜんぜん分からない。昨日も、白く咲いたパプリカの花が急に萎れて茶色くなっちゃったので焦ったけれど、どうやらそうやって花が枯れた後に実が育ち始めるらしく、今朝見ると、花が終わったところに5mmくらいの大きさのパプリカが誕生してた。そもそもこの苗は「オーガニック・ペッパー」とかアバウトな表示がしてあるのを買って来たので、いかなるオーガニック・ペッパーが実るのか知らないんだよね。なんだか福袋を開けるような気分。今はグリーンの超ミニペッパーがそのうち大きくなって、赤 or 黄色(あるいは緑のまま?)に色づいて、世に言う「パプリカ」というものになるのではないかと勝手に想像しているのだけれど(こちらでは日本で言う所の「パプリカ」も「ペッパー」と呼ばれる事多し)、もしかするとトンガラシみたいなのができるのかもしれず、玉手箱ですね、これは。何が生まれるのか、楽しみ。

今日は、ダウンタウンでワーキングホリデーのM嬢に英語を伝授。自分自身は日本を離れてからあっちゃこっちゃしながらいつの間にか英語が話せるようになったのだが、人に教えるというのは、今更ながら改めて勉強になる。まだV市に来たばかりの初々しい彼女。一生懸命、英語と闘っている姿が健気である。遠い昔、自分がF犬街に降り立った頃のことをフと思い出す。毎日が外国語との闘い。言いたいことが言葉にできないもどかしさ。そして、相手の言っていることが分からない焦り。それでもとにかく体当たりで毎日なんとかコミュニケーションを試み、???????が空気中に無数に浮かぶディスコミュニケーションや青あざ一杯のミスコミュニケーションを繰り返しながら、少しずつ、少しずつ、言葉と自分が近づいてゆく感覚を味わったものだった。「うーん、英語ってむずかしーですね...」と途方に暮れながらも、「でも楽しいです。英語で話すのって!」ととびきりの笑顔で笑うM嬢。keep on going! きっと英語があなたに微笑む日が来るであろう。ゆけゆけ日本女子! Go J Go!

帰り道で、ホームセンターに寄って、植木鉢の受け皿を購入。まったく植物ってのは、お金のかかる恋人だぜ。そのうち、「肥料も欲しいわぁ〜」なんて言い出すだろうしさ。オーガニック土だからオーガニック肥料にしなきゃだし。これが、ホント高いの! ま、結局最後は私が収穫物をパクパク食べちゃうんだけど、ね。

などと植物と対話していたら、はっ。いつの間にか窓の外に見える橋の上の道路が、完全に自転車で埋まっていた。自転車の河がこっちからあっちまでずーっとずっと続いている。車で埋め尽くされた道路ってのはよくあるけど、車じゃなくて、自転車...見慣れぬ光景。これ、自転車派が集まって月の最後の金曜日にやるデモみたいなもので、「クリティカル・マス(critical mass)」って言うんだそうだ。街ってのは普通は車に占領されてるから、月一回の自転車の反逆ってとこか。世界ってのは、いつのまにか一つのもの、一つの考えに占領されちゃってることが多いので、こうやって「それっておかしいんじゃない?」「これでもいいんじゃん?」と揺すぶりをかけるのは、なかなかよろしいことで。