うとうとと柔らかい時間

今日もV市花火大会の日なのだが、夕刻から雨。空は明るいのに雨がザアザア降るお天気雨。上げるのかしら。たぶん上げるんだろうなあ。ヘリコプターが上空を飛んでいる。なんて言ってるうちに、さらにザアザアザア。すごい水量だ。夕立かな、これは。

朝からラボで仕事して、埃まみれになってくしゃみと頭痛に見舞われたので、適当なところで切り上げてV市QE公園へ。曇り空ではあったけれど、雨はまだ降っていなかったので、公園の芝生の上にブランケットを敷いて寝転がり、野球帽を顔の上に乗っけて、しばらく現世からおさらばした。車が通過していく音。風の鳴る音、遠くのカーラジオから流れるポップソング。それがミルク色のミックスになって、遠く近く揺れる。そのうち、音にフィルターがかかって更に全てが遠く幽かになり、うとうとと柔らかいものが四方八方から押し寄せて来て、私をここではない場所へと連れて行ってしまった。と、その時、ポツリ、ポツリと冷たいものが。あ、また現実の方に引き戻される、と夢現のうちに思っていると、雷鳴。まだ半分あっちの世界に足が残ったままで大樹の下にブランケットをのろのろと移動して、もう一度地球の上に横たわり、うとうとと柔らかく温かい時間の襞の中に芋虫のように潜り込んだ。

目をさますと、ぐるっと回って現世に戻っていて、やたらウェディングドレスの花嫁さんの多い公園の中にいた。

椅子を並べてピクニックをやっている家族多し。鴨がいっぱい浮いている池の回りには、子供がたくさん群がってパンを撒いている。ハトのオスがハトのメスをさっきからやたらしつこく追っかけている。縄張り争いなのか、ラブなのか。ここで、万国共通の子供の行動「鳥を追いかける」登場。ハトがハトを追っかけて、そのハトを子供が追っかける。鴨はお尻の半分とちょこちょこ動く水かきだけを水面にポコリと出して、垂直に潜っては水草をついばんでいる。鴨のシンクロナイズドスイミング。よくもまあ、あんなに池の水面と直角に潜れるもんだなあ。お尻がこっちから見えてるって知ってるのかなあ、可愛い形なんだけど。近くで見ると、羽根が水を弾いて全然濡れてない。面白いなあ。不思議だなあ。

と、一羽の鴨が何を思ったのか、陸に上がって来た。身長80センチくらいの子供の間をテコテコ抜けて行く。何か目的があるのかしらと見ていたら、「あ」と気づいたような電撃が走って、ものすごい早さでまた池に駆け戻って水中へ消えた。戻って行く時の足の動きが、マンガで描くとぐるぐるの渦巻きになりそうなくらい速かった。鴨でも意味不明な行動をつい取ってしまうような瞬間があるのかな。鴨の散歩、あるいは鴨の白昼夢?

などと、どうでも良いことを書き連ねているうちに、夕立が上がって空が透明度を増して来た。
花火が今夜も、きれいにみえるだろうな。なかなか運がいいじゃないの、V市。

と、思ったら、またすごい稲光。豪雨。駄目かもね花火。